表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/80

55話 彼女の本当の怖さは

 冗談を言っている場合ではない。犠牲者を出さないため、何とか対処しなくては。といっても、相手はこの世の者ではないのだ、対処が難しい。


 家に帰って親に言う?


 できればこれは避けたい。母親を巻き込むことになってしまうから。女性は謎に満ちている、巻き込まれたら母親が何をされるか分からない。それは嫌だ。


 ならば警察に連絡する?


 いや、もし女性に逃げられたら、私がおかしな人扱いされてしまいそう。それはそれで心が痛む。それに、警察といっても一般人だ。女性がその気になったら、もしかしたら殺されてしまうかもしれない。


 一般人に頼るのはさすがにまずい。

 大きな賭け過ぎる。


「退きなさい、リリィ」

「嫌」

「そう。……なら強制的に」


 女性は片手を前方へ伸ばす。すると手のひらから赤黒い渦のようなものが発生した。手のひらはリリィにかざされている。


「消えな! 生意気な小娘!」


 数秒後、その赤黒い渦ものが、リリィに向かって飛んだ。


 だがリリィはそれを刀状にした手で切り払う。


 リリィの手にはエメラルドグリーンの光のようなものが宿っている。


「従う気とかゼロだから」


 リリィにも特別な能力があったのか。後ろから眺めつつ、私は密かに驚いていた。リリィが悪の組織にいたということは聞いていたけれど、こんな特殊能力を使うところは見たことがなかったように思う。


「殺されたいの」


 ぽつりと呟き静かに威嚇するリリィ。


「必死ね。もしかして、アンタも惚れてるの?」


 威嚇するリリィを見て、女性はそんなことを言い出す。

 それに対し怪訝な顔をするリリィ。


「……も?」


 リリィは睨んだままだがそれまで以上に眉間にしわを寄せる。

 アンタも、の、も、に違和感を覚えたのだろうか。


「だってそうでしょ。ローザだってその娘がす——」

「あー! あーあーあーっ!」


 女性が発する文章を掻き消すように急に大きな声を発するローザ。


 明らかに不自然だ。


「ちょっと、何よ」

「そういうことは言わなくていいって!」

「いいじゃない。だって事実でしょ? アンタは彼女に惚——」

「いー! うー! なー! てーっ!」

「……何よ馬鹿みたい、必死になっちゃって」


 腕組みした女性は、はぁ、と呆れたように溜め息をつく。それからまだ地面に這わされているローザを一瞥し、その後、私の方へ視線を向けてきた。


「ま、簡単に言うと。ローザはアナタに惚れてんのよ」

「はい?」

「組織を抜けたのもアナタへの感情があってこそよ。まぁ、無能でクビっていう側面も、まったくないわけじゃないけれど……」


 紅の塗られた妖艶な唇から放たれる言葉をすぐには理解できない。


「あの、意味がよく分からないのですが」

「あら鈍感。考えてもみなさいよ、色々不自然なことばかりじゃない」

「え?」

「校門前で待ってる、とか、家に訪問してくる、とか、近所に引っ越してくる、とか。普通考えて不自然だしあり得ないでしょう?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ