表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/80

54話 週末、降り注ぐ光

 刹那。

 視界の上の端で何かが煌めいた。


「危ない!」


 ローザは叫ぶのとほぼ同時に私の腹を押し突き飛ばした。


 後方へ数メートル飛び、そのまましりもちをつく。

 直後赤黒い光が降り注ぐ。


「え……」


 赤黒い柱状の光はローザを貫通し地面まで届く。

 私は何も言えなかった。


「あら、かわされちゃったわね」


 頭上から女性の声。声がした方へ視線を向けると、電信柱の上に一人の女性が立っていた。黄色に近い金髪を長く伸ばした、化粧濃いめの女性。三十代くらいだろうか。あくまで見た感じだが。


「ちょ、おま……」


 赤黒い柱状の光に突き刺され地面に伏せたまま、顔を上げて口を開くローザ。

 色々心配なところではあるが、取り敢えず、今のところ彼は死んでいないようだ。柱状のものは確かに刺さっているのだが血は出ていない。即死しそうな感じもない。


「ローザ。アンタ、どっかいったと思ったらこんなところにいたのね」


 女性はふわりと地面に降りてきた。

 電信柱から軽やかに飛び降りるとは、かなり人間離れした行動だ。


「アンタらしくないじゃない。誰かのため自分の身を犠牲にするなんて」

「何とでも言え……」

「あら、案外まだ元気そうね。もう一撃くらい加えた方が良いのかしら」


 その頃になって私はようやく立ち上がることができた。幸いしりもちをついただけだ、怪我はない。多少尻のあたりが痛いような気はするけれど。


 立ち上がった私の手を掴んだのはリリィ。

 何も言わず手を掴まれたので驚いて彼女の方を見ると、彼女はいつになく深刻そうな顔をしていた。


「リリィ?」

「逃げて」

「え?」

「逃げろって言ってるの。危ないから」

「待ってよ、意味が分からない……」


 小さい声でやり取りしていると、女性がこちらへ視線を向けてきた。


「ローザを変えたのはアナタなのね」

「え……」

「凡人一人に興味はないけど、アナタにはちょっと興味が湧いたわ」


 女性が片足を前へ出し歩き出す。視線も進行方向もこちら。明らかにこちらに寄ってきている。何をされるのか読めず、鳥肌が立つ。


 その時だ、リリィが間に入ったのは。


「それ以上寄らないで」


 リリィは自ら私と女性の間に入った。

 そして女性を睨みつける。


「あら、何の真似かしら」

「寄るなって言ってるの」

「アンタそんな言い方して許されると思ってるの? 呆れた。さすがに調子に乗り過ぎよ?」

「何とでも言えばいい!」


 リリィの目つきはいつになく鋭かった。

 完全に戦闘体勢に入っていると言っても過言ではない。


「勘違いしないで! もう上も下もないから!」

「随分生意気言うようになったじゃない」

「うるさい黙れ!」


 女性とリリィの睨み合いにはとても入っていけそうにない。あの間に入って行くとなると、ストレスで胃から火が出そうだし、心も折れそう。だから私はそちらへ入っていくのはやめた。アスファルトに伏せさせられたままのローザの方へ行き、声をかけてみる。


「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ、うん。でもアスファルト熱すぎ……熱中症になりそう……」

「そっちですか」

「燃えそう……」

「氷枕でも持ってきた方が良さそうですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 『54話 週末、降り注ぐ光』まで拝読しました。 いきなり現れた女性は、リリィとローザの元上司的な存在でしょうか。 ローザが良いキャラしていますね(^^) 今後の展開を楽しみにしています♪…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ