表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/80

51話 中間考査終了

 中間考査は終わった。成績はそこそこ。だが私としてはそれほど悪くない点数だった。教師から怒られることもないだろう、それだけでも安心できる。


「あーあ、サイテー」


 返却日、小雪はあまり機嫌が良くなかった。


「どうしたの?」

「数学よ、見てこの点数。また親に色々言われそうでダルい」


 小雪が見せてきた自分の解答用紙には赤い五と七が並んでいた。


「それって悪い点?」

「そうそう」

「半分はあるし悪くはないんじゃない?」


 五十点代なんてわりとよく見かける数字だ。確かに点数としては良くはないかもしれない。けれども驚くほど悪いわけでもない。日頃の点数がよほど良い生徒であれば、五十点代でも驚かれるかもしれないけれど。でも、親に色々言われるほどの点数かというと、私としてはそうは思わない。


「絶対言われるよ、ぎゃーぎゃー」

「厳しいんだね」

「ほんっとウザい! いつも家にいないくせにさ! こういう時だけ絡んでくるから!」

「大変だね……」


 その点うちの母親はあまり厳しくない。

 大抵笑って許してくれる。


「はなちゃんはどうだった?」

「普通かな」

「何点? 良かったら見せてー」

「うん……いいよ、はい」


 少し恥ずかしそうに解答用紙を見せてくれる夢見さん。


 その点数に愕然とする。

 ほぼ全部が九十点以上だったのだ。


 どこの学校にも高得点な生徒はいるもの。だからこの学校にも当然いるだろう。成績は上から下まで存在するのが一般的だ。もっとも、例外はあるだろうが。ただ、普通な学校であれば、成績の幅は大抵あるものである。


 だがほぼ九十点以上というのは珍しいのではないだろうか。

 少なくとも、私はあまり出会ったことがない。


「凄い! 凄いよ!」

「ううん」

「それは自慢していいよ! 何なら私が自慢してくるよ!」

「やめて」

「えー、嫌なのー?」

「あまり見せたくないかな……自慢してるみたいで変だし」


 私と夢見さんが喋っている間、小雪は夢見さんの数学の解答用紙をじっくり確認していた。

 どういう点を見ているのかは知らないが。


「えー! そんなことないって。凄いのは本当だもん!」

「でも……」

「これは自慢していいよ!」

「やめとく、かな」

「えー。まぁでもそっか、はなちゃんがそう言うなら仕方ないね」


 ちょうど言葉が途切れたタイミングで小雪が口を挟んでくる。


「凄いじゃん」


 小雪は素直に夢見さんを認めた。


「ううん、そんなこと……」

「この問題とかさ、結構難しかったでしょ。えーこれ出るのとか思ったもん。ワークでも応用扱いだったし、出そうにないと思ってた」


 話についていけない。

 私は入っていけそうにない会話だ。


「うん、それが出てるのはびっくりした」

「でも合ってるじゃん」

「何とか」

「やるじゃん。凄いよ。頑張ってるんだね」

「あ、ありがとう……」


 小雪に褒められ、夢見さんは照れていた。


 褒められればやはりまったく嬉しくないわけではないようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ