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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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50話 とにかく忙しい

 夏休み後の学校生活は色々てんこ盛りでとにかく忙しい。勉強はもちろんだけれど、忙しい理由はそれだけではない。というのも、行事が多いのだ。炎天下での長時間練習が苦痛でしかない体育祭、準備やら何やらで授業日を潰してくれるところだけはありがたい学園祭など。


 しかし、まだ夏は終わらず、執拗に暑い日が続く。


 何月何日というもので考えれば真夏ではないのだけれど。近年は秋が近づいていても気温がなかなかくだらないのだ。


 おかげで毎日汗だくである。


 二学期に入り一番に現れた壁。それは体育祭の練習。学年での謎の踊りがあるがために、多くの授業を潰して練習しなくてはならない。高校生にもなってなぜ皆で踊らなくてはならないのか、という意見も少なくはない。が、それでも、学校はこの学年での踊りをなくさない。


 正直踊りは苦手だ。

 でも、やるやらないは選択できないから、やるしかない。


 幸い下手な生徒の方が多い。それだけは救いと言えるだろう。私が下手でも目立たない。


「はー疲れたー」

「何なワケ」

「ごめんリリィ、凄い疲れてて……」


 踊りは妙に消耗する。慣れていないからだろうか。数時間の練習であっても、長時間の練習のように感じてしまって。帰宅してからも疲労感が凄まじい。


「そんなに疲れることがあったの」

「うん……」


 リリィの前でも笑顔を作り出せない。

 だるだるしてしまう。


「ふーん、珍しい。何? そんなに疲れることって」

「学年での踊り」

「踊り?」


 首を傾げるリリィ。


「そうそう。強制参加なんだよねー」

「ふーん。そ」

「話聞いてよー、辛いよー」

「興味ないし」

「えーっ! それは酷い! ひーどーいーっ!!」


 ……と言いつつも、リリィは話を聞いてくれる。


 リリィが優しい。それは大きな救いだ。これでリリィが本当に心ない接し方をしてきたら、本当に、もう何かが壊れてしまいそうだ。私というものが崩壊し始めてもおかしくない。


 それでも私は体育祭を何とか乗り切った。

 リリィに励ましてもらいながら。


 ようやく体育祭を乗り越えたと思った、すぐに訪れる中間考査の時期。これまた忙しい。けれども体育祭の踊りに比べれば勉強なんて可愛いものだ。踊りは取り組んでも失敗の連続だが、勉強は取り組めば成果が出る。報われるのは大きい。


「浅間さん、今回調子はどう?」


 試験前の一週間に入った頃のある日、休み時間に、夢見さんがそんな質問を投げてきた。


「試験?」

「うん。どんな感じかなって少し気になって。……詮索するみたいでごめんね」

「ううん。いいよ。そんな捉え方しないよ」

「それで、調子はどう?」

「うーん……まぁそこそこ、かな」


 人間ゆえ完璧とは言えないが、まったく何もしていないというわけでもない。だから私は、こういう系統の質問が来たら、いつもこう答えるのだ。


「はなちゃんは?」

「わたしもそんな感じかも」

「そっか! 頑張ろうね!」

「う、うん」

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