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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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45話 寝起きはご機嫌ナナメなことも

 こうして四人での旅行は幕を下ろした。


 帰宅する。

 たった数日のことだったのにもう随分帰っていなかったような気がしてくるから不思議だ。


「さようならー、露澤さんー」

「よければまた」

「えぇ! またよろしくお願いしますね」


 母親はローザとすっかり仲良くなっている。彼を疑いもしない。いや、母親の場合は悪の組織うんぬんを知らないからそうなるのも不自然ではないか。ただ、もしかしたら少し他人を信じやすい質なのかなと、そう思わないこともない。リリィが言っていたように。


「帰ろ、日和」

「あ、うん。そだね。帰ろっか」


 こうして私はまた日常へと戻ってゆく。

 リリィと過ごす、ありふれた日々へと。


 その日の晩は疲れてすぐに寝てしまった。そのせいで夜の時間帯を有効活用できなかった。本当ならもう少しリリィと遊んだり用事をしたりするところなのだけれど、この日ばかりはそういうわけにはいかなかったのである。


 だが、その代わり、翌朝早めに目が覚めた。


 早朝に目覚めることはあまり多くないのだが。この場合、恐らく、昨夜早く寝たために早めに目覚めてしまったのだろう。


 私はこっそりベッドを抜け出し、勉強机の方へ移動する。

 リリィはまだ寝ている。


 室内の電灯はつけず、勉強机に設置されている小ぶりな電灯だけをつける。勉強机を使う分にはこの程度の明かりでも問題ない。


 気持ちよく寝ているリリィを起こすのは申し訳ない。

 薄暗い中、私はこっそりと個人的な作業を続けた。


 そうしてそれらしい時間になると、寝ていたリリィがむくりと上半身を起き上がらせる。一度小さめのあくびをして、目を軽く擦り、二、三回まばたきしたら意識が戻ってきたようだ。


「起きたの? リリィ」

「……起きた」


 眠そうなリリィもそれはそれで可愛い。


「日和はもう起きてたの」


 寝起きのリリィはエメラルドグリーンの髪が少しばかり乱れている。横になって寝ていたのだから当然といえば当然のことなのだが。ただ、少し髪が乱れているだけで隙があるように感じられて、魅力が倍増する。


 ……何を言っているんだという感じだけれど。


「うん。ちょっと早く目が覚めちゃって」

「ふーん、そ。……歯磨いてくる」

「待って! それ私も行く!」


 歯磨きの存在を忘れていた。

 せっかくの機会だ、一緒に行こう。


「鬱陶しい」

「えー、ひどーい」

「朝から騒がないで」

「どうしてそんな冷たいこと言うのー!」


 寝起きのリリィは時折不機嫌だ。


 でも初めてのことではない。これまでにもそういうことはあった。だからそんなに驚きはしない。あぁご機嫌ナナメの日か、くらいの感じである。腹が立つこともないし、怯えることもない。この程度であれば軽く受け止められる。


「待ってー!」

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