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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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44話 旅行先での朝

 個性的な派手な色みの髪は絹のよう、触れると指の股をするりと抜けてゆく。まるで高級なドレスのよう。マシュマロのような頬に触れ、二つの唇を重ねれば、しっとりとしながらも柔らかな感触が……。


「……あーっ!!」


 飛び起きて気づいた。

 単なる夢に過ぎなかったのだと。


 どうやら早朝のようだ。カーテン越しに僅かな光が降り注いでいる。とはいえ、消灯された室内が明るくなるほどの日差しではない。ほんのり薄暗くなる程度でしかない。


 リリィはまだ隣で寝ている。

 私が目を覚ましたことに気づいてはいないようだ。


 それにしても、なぜ、よりによってこのタイミングであんな夢を見てしまったのか。リリィといちゃつく、恥じらいしかない夢。


「もう一回寝よ」


 取り敢えずもう一度寝ておくことにした。

 早朝から起きておくと午後眠くなりそうだから。

 それから再び寝てみることにした。といっても、いつでも眠れるわけではない。が、この時はもう一度眠ることができた。そして皆が起きるくらいの時間に改めて起きる。


「おはよー」


 私が二度目に起きた時、母親は既に起きていた。


「おはよう」

「よく寝れた?」

「……う、うん。寝れた」

「あら。どうしたの? もしかして、何かあった?」

「う、ううん! ううん! 何もないっ!」


 焦っている私を母親は不思議そうに見ていた。


 それから私たち三人は荷物をまとめる。ホテルで過ごすのもあと少しだからである。そして、ある程度荷物をまとめておいてから、朝食を食べに行く。ローザとはそこで合流した。

 並べられているいろんな料理があり、大皿から好きなものを好きなだけ取る。朝食はそういうシステムであった。用意されている料理のジャンルは、和洋中、と幅広い。がっつり食べられる料理からスイーツまで、また、おつまみも。かなり色々な種類が用意されている。


「日和、昆布取り過ぎ」

「え?」


 私の平皿には海藻サラダ。

 いろんな種類の海藻が混ざっているだけのサラダである。

 ちなみに、このサラダには味がついていなくて、いくつかのドレッシングから好きなものを選んでかけることができるようになっている。用意されているドレッシングは、胡麻、黒酢、しそ、イタリアンなどである。


「これ昆布じゃないよー」

「そう見えるケド」


 リリィが昆布を知っているのは、私が家で食べるお菓子の中に乾燥昆布系が入っているからである。それは絶対、確かなことだ。なぜそう言えるかというと、初めて昆布系お菓子を見た時不思議そうな顔をしていたからである。昆布というものを知らない様子だった。


「まぁ厳密には、昆布だけじゃない、かな」

「いろんな種類ってこと?」

「そんな感じー。こういうのは海藻サラダって言うんだ」

「海藻て呼ぶの」

「うん! 赤っぽいのとか、透明なのとか、色々あるよ!」


 海藻サラダの魅力はこの噛み心地。また、ドレッシングと絡めることによって、さらに美味しさを感じやすくなる。食べ過ぎるのは問題だが。それでも、それほどお腹が空かない時には、海藻類はありがたい。つるん、と、苦労なく食べることができる。


「リリィはヨーグルト好きなんだ?」


 彼女の器には白い緩めのヨーグルトが入っている。


「何でも好きではないケド」

「この種類のヨーグルトが好きってこと?」

「そういうこと」

「気に入ったんだ! 良かったね!」

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