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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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43話 夜の楽しみ

「それにしてもこの芋の揚げ物美味しいわね」

「レンコンが好きです」

「まぁ、そうなのー。レンコンも歯ごたえがいいわよね。揚げているのに食感が残っているのがいいわよねー」


 食事の間、母親とローザはずっと楽しそうに喋っていた。

 母親が誰かと楽しそうにしているのを見ているのは嫌な気はしない。むしろ嬉しさを感じる。幸せそうな人を見ていると温かい気持ちになれる、こちらまで幸せな気がしてくる。


 コースの最後に出てきたのはデザート。

 抹茶パウダーがかかったわらび餅だ。


 ついてきた楊枝で突くとぷるんぷるんと愛らしく揺れる。


「やった! わらび餅!」


 出てきたデザートを見て一番喜んでいたのは、意外にもローザだった。


 それにしても。いい年してこんなに純粋に喜べるというのは不思議なところだ。世の大人たちがこんなに純粋に喜ぶことはあまりない気がする。


 食事後、全員で一旦ローザの部屋に行き、そこで少しばかり話をした。


 一人部屋だから四人で過ごすのは少々狭さを感じたけれど。でも、狭さが楽しさを高める感じもあって、それはそれで楽しかった。秘密基地の楽しさに近いというか。


「お茶をどうぞ」

「わ! ありがとうございます! 由香里さん、助かります」

「いえいえー」


 母親は何も言われなくてもお茶を淹れていた。

 ローザが感心するのもよく分かる。そういう気遣いは私にはないものだから。


「日和、これ」

「はーい」

「片方リリィちゃんに」

「はーい」


 私は受け取ったカップの片方をリリィに渡した。


「ありがと」


 珍しくリリィは素直だった。

 すんなり受け取ってくれたし、余計なことも言われなかった。


「熱いかも」

「分かった。気をつける」

「私も気をつけよー」


 言いながらカップの端に唇を当てる。そして案の定「アツッ!」と叫んでしまった。中の液体は熱いのだが、それだけではなく、カップ自体もそこそこ熱くなっていたのだ。手のひらの皮膚は厚みがあるからそれほど熱く感じないのだが、唇で触れるとかなり熱く感じる。


「気をつけてー」


 熱がる私に声をかけてきたのはローザ。


「カップ自体も意外と熱かったです」

「なるよねー。あるあるー」

「そっちは大丈夫でした?」

「もうちょーっと、冷ましてからかなー」


 言われてみれば確かに、ローザはまだ飲み始めていない。


「熱い飲み物は飲むにも工夫が必要だよねー」

「そうですね」


 四人で色々話をした後に、私たち三人はローザの部屋から去った。

 三人部屋へ戻る。

 その日は三人部屋で寝ることとなる。私とリリィは二人で一つのベッドを使った。狭いけれど不快感はない。むしろ、温もりが心地よかった。

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