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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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39話 ホテルは和風で魅力あり

 その後たどり着いたのは、心なしか和の趣を感じさせるデザインのホテルだった。


 建物自体は洋式のホテルに近い。が、飾られているものや入口付近のデザインや庭園などは、どちらかというと和風に近いものがある。


 正式に和風と言って良いかは分からないが。

 ただ、素人から見ると、和風な気がする。


「まぁ! 綺麗なところね!」


 ロビーへ入る瞬間、母親は既に興奮気味だった。

 でもそれも無理はないかもしれない。母親は基本ずっと家にいるから。当然時には外出もするけれど、一日の多くの時間を自宅で過ごすことが常だから、それを思えば珍しい光景に興奮気味になるのも不自然な話ではない。


「気に入っていただけましたか」

「えぇ! 素敵なところですね!」

「気に入っていただけたなら良かった。こちらも嬉しいです」


 ここを紹介してくれたのがローザなのが何とも言えない心境になるが、本当に魅力的なホテルだと思う。独特な世界観が印象的かつ魅力的だ。他にはない魅力が、そこには確かにある。


「部屋は三人部屋一つと一人部屋一つで予約しています」


 そんな風に話すローザは、この世界にすっかり馴染んでいる。ここではない別のどこか、異なる世界からやって来た人物とは、正直思えない。容姿には多少珍しさもあるのだけれど。でも、それを除けば、一般人のようである。


「四人部屋じゃないんですか?」

「実は四人部屋は空いていなくて……」

「まぁ……! そうだったんですか。なら仕方ないですねー」


 母親はローザと喋って楽しそうだ。

 二人はとても仲が良さそう。

 ロビーでローザが手続きをしている間、母親は彼の横にいた。ただ棒立ちになっているというわけではなく、何やら話しているようだったので、私は離れておく。リリィと一緒に、ロビー内にあるソファに腰を下ろす。


「日和のお母さん、警戒心なさ過ぎ」

「妙に仲良くなってるよね」

「お人好しは遺伝ってワケね」

「えー。それはさすがにひーどーいー」


 ロビーには他の人はいない。中途半端な時間だったからだろうか。だがそれでいい。いや、その方がいい。人だらけのロビーで過ごすのは疲れてしまう。無駄に消費せずに済む、という意味では、人が少ない方が良い。特にこういう落ち着きたい場所においては。


「それにしても、このホテル綺麗だねー」

「手続き遅い」


 こちらの発言とはあまり関係がない、意外な返答だ。


「え。そんなこと?」

「早く部屋に行ってみたい」

「それは私も!」


 ホテルの楽しみといえば、客室で怠惰に過ごすことだろう。旅行の楽しみもそれと同じ、と言っても、言い過ぎではないはず。もちろん、旅行においては別の要素が楽しみという人もいるだろうが。ただ、私にとっては、客室でのんびり過ごすのが一番の楽しみなのだ。


 マイペースに寛げることこそが、旅行やホテルの魅力である。


「リリィはホテル泊まったことある?」

「ない」

「そっかぁ。リリィの世界にはホテルなんてなかった?」

「ないことはないケド……」

「けど、何? そこからが気になる!」

「泊まることとかなかったし。……ただそれだけ」

「そっかー」

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