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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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36話 友達と映画館へ

「今日は楽しかった」

「そう! なら良かったわ。リリィちゃんが楽しんでくれたなら何よりよ」


 洋食屋からの帰り道、リリィはすっかりご機嫌になっていた。

 母親はカレーライスと麦茶。私は同じくカレーライスとレモンスカッシュ。リリィはミニスパゲッティシリーズの海鮮オイルとみかんジュース。

 他の客が少なかったこともあり、ゆっくり食べることができた。


「また行けたら行きましょうね」

「……そうする!」

「ふふ。リリィちゃん、ご機嫌ね」

「美味しかった」


 リリィと母親はすっかり仲良くなっている。


 家へは真っ直ぐに帰った。


 今年の夏休みは例年の夏休みとは少し違っていて。いつもよりイベントが多かった。イベントと言っても、私の個人的なものなのだが。というのも、出掛けないかと声をかけてもらう機会が多かったのだ。


 夏休み前半が終わる頃、小雪から連絡があった。


 家事とテレビを見ることで忙しい彼女だが少し余裕がある日が作れたようで。出掛けないか、と連絡してきてくれたのだ。こちらとしては特に予定もない日だったので、彼女が言ってきてくれた日のままで約束した。


 こうして私は、小雪と共に、隣の街の映画館へ映画を観に行くこととなる。


「明日、外出?」


 リリィはいつも私のことを見ている。そして、私が少しでもいつもと違う動き方をしていると、すぐに質問を投げかけてくる。私が出掛ける準備しているのを、彼女は見逃さない。しかも見逃さないだけではない。私に入った予定が何なのかを探ろうとしてくる。


「うん」

「……夢見と?」

「ううん、違うよ。小雪って子と行くんだ」


 普通個人的なことを色々聞かれたら不快に思うものだろう。だが、私の場合は、リリィだけは特別だ。リリィになら、探ろうとされるのも嫌ではない。いや、むしろ嬉しい。リリィが私に興味を持ってくれているということだから、不快に思う理由なんてない。


「小雪?」

「クラスの友達!」

「ふーん」



 小雪との映画鑑賞はそれなりに楽しく終わった。

 昼前に駅前で会い、駅近くのカフェで軽く食事を取り、それから映画館入り。小雪が見たかったのだという映画を二本連続で見て、駅まで一緒に歩いて解散。


 今回の映画は、あまり詳しくない作品だったが、それでもそれなりには楽しめた。

 非常に楽しめたかというとそうとは言えないけれど、まぁ、そこまで求める気もない。


「ただいま!」

「日和帰るの遅い」

「えぇーっ。リリィ、ひーどーいー」


 出掛けるのも誰かと何かをするのも楽しい。けれどもやはり、家へ帰って穏やかに過ごすのが最高だ。家にいる時はリリィと一緒にいられるし過剰に気を遣う必要もないし。とにかく気が楽だ。


「お帰りなさい日和。ご飯できてるわよ」

「メニューは何?」

「キノコのハヤシライスよ」

「やった! キター!」


 こうしてまた一日が終わる。


 夏休みは中盤へ向かってゆく……。

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