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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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32話 いよいよ夏休み

 今日で夏期休暇前の授業は終わり。

 そのためか、校内には心なしか浮かれたような空気が流れている。

 生徒の多くは若干テンションが上がっている。そのため、発する声もいつもより大きめだ。休みを迎えるという嬉しさもかあってか、皆、いつも以上に話が弾んでいるようである。


「これで休みかー。あーあ、退屈になるなー」


 小雪は長期休暇が嬉しくないタイプの人間だ。

 恐らく少数だろうが、それでも、彼女にとっては長期休暇は嬉しいものではないのだ。

 そういうこともあって、私はこれまで、長期休暇前になるたび小雪が溜め息をつくのを見てきた。もっとも、長期休暇を嬉しく思うも思わないも個人の自由なので、それが駄目だとか何とか言う気ははい。小雪はそう感じるんだな、くらいにしか思わない。


「お父さんお母さんはまだいないの?」

「あーうん。多分帰ってこれない」

「じゃあ弟さんと二人?」

「そ。あー、だるーい。アイツすぐ文句言うからなー」


 小雪の両親は仕事が忙しいらしくあまり家に帰ってこないと聞いている。お金がなくて困っているというわけではないから生活費やお小遣いは貰えるようだけど。


「文句?」

「いっつも見る番組で揉めるんだよね」

「あー、そっかー」

「そうだ。暇な日とかあったらまた遊ぼ。連絡するから」

「うん!」


 せっかく学校がないのだ、少しでもリリィと一緒にいたい。同じ時間を過ごしたい。が、それで小雪の誘いを断るというのも申し訳ない。後から出てきた方を優先するみたいで罪悪感がある。


「いつでも誘ってね!」


 そして下校時間を迎える。

 一学期は終わった。


「浅間さん」


 帰ろうと鞄をまとめていると、夢見さんが声をかけてきた。


「今日で学校終わるね」

「うん!」

「リリィちゃんは元気?」

「元気だよ」


 夢見さんは既に荷物をまとめている。

 学校で決められている制鞄と自由に持ってきていいサブバッグ、荷物は少なくないだろうが彼女の場合は二つの鞄にきちんと収まっているみたいだ。


「そっか、良かった。夏休み中もまた会えたらいいね」

「うん! 誘って!」


 特に用事もなかったので、いつも通り、真っ直ぐ帰った。

 リリィは今日も家の前にいて迎えてくれた。


「おかえり」

「待ってくれてたんだ! ありがとうリリィ!」

「べつに」

「何それ、変なのー。よく言うよね、べつに、って!」


 するとリリィは急に冷めたような顔つきになる。


「……そういうのいいから」


 ぷいっとそっぽを向いて家の中へ入っていってしまう。


「ごめん! ごめんってー!」


 どうやら私は機嫌を損ねてしまったようだ。まさかこんなところでやらかしてしまうとは思わなかった。悪気なんてなかったし。でも、だからこそ、私は彼女の小さな背中を追いかけた。


 リリィは私の自室に入り不機嫌な空気を撒き散らす。


「ねぇリリィ許してー。お菓子あげるからー、雑誌とか何でも貸すからー」

「……べつに怒ってないし」

「えっ。本当に?」


 どうやら本気で怒っているわけではなかったようだ。

 一時的に不機嫌になっただけだったのかもしれない。


「ホントだから! そんな目で見ないで!」

「あぁ良かったぁ」

「……いちいち騒ぎ過ぎ」

「そんなこと言わないでよー。リリィに嫌われたら嫌だもんー」

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