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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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28話 見慣れない場所にいた

 気づけば見慣れない場所にいた。


 どうやら私は地面に倒れているようだ。


 全身が重く感じられる。薬でも盛られたのだろうか? ……いや、さすがにそれはないか。とはいえ、この倦怠感は日常で感じるようなそれではない。となるとやはり何かされたのではないか? 根拠はないけれど……。


 しかし辛うじて瞼は開く。

 ここはどこだろう、などと考えつつ、静かに周辺を見回す。


 部屋? 薄暗いけれど室内のように思う。しかし自室ではない。家の中のどこかの部屋でもない。それは確かだ。私の知らないところ? 牢屋? 監禁されている?


 そんな風に思考を巡らせていた最中、ハッと思い出す。

 私は車に乗せられて誘拐されたのだった !と。


「オメザメデスカ」


 直後耳に飛び込んできたのは人工的な声。

 そう、全身黒タイツの声だ。


「……ここは?」

「ソノトイニコタエルヒツヨウハアリマセン」

「困ります! こんな……」

「オトナシクシテクダサイ。デナケレバ、イタイメニアワセルコトニナリマス」


 ゆっくりと上半身を縦にする。

 まだだるい感じはあるが、動けないことはない。


「ごめんなさい、大人しくします」

「デハコチラヘ」

「え?」

「アンナイシマス。ツイテキテクダサイ」


 私は全身黒タイツに命じられるがままにその人の後ろを歩く。


 罪人にでもなったかのような気分だ。


 私は何もやらかしていない。ただ高校生として生きていただけで。特別なことなんてしていないし、罪を犯したと言われるような行為に手を出してはいない。それなのにこんなことになるなんて。こんな風に罪人のように扱われることになるなんて。こんな未来、ちっとも想像してみなかった。


 部屋を出て自動ドアを通り過ぎても薄暗い通路が続く。

 横に並ぶとなると三人も並べないような幅の通路だ。


 リリィはどうしているだろう? 心配していないだろうか。いや、彼女のことだから、帰りが遅いと怒っているだろうか? それならまだいい。怒っているだけなら、私が後できちんと説明する。ただ、悲しませるようにことがあったらと思うと、申し訳なさでいっぱいになる。


「ココデシバラクオマチクダサイ」

「はい……」


 扉の前で待たされる。

 いまのうちに逃げるのはどう? なんて考えるけれど、それを実行する勇気はない。


 思いきったことをすることもできずその場に佇んでいた私の肩に、突如、ぽんと手を置くような感覚。何かと思い振り返ると、そこには見たことのある顔。


「やぁ、調子はどう?」


 なぜ第一声がそれなのか。

 もう少し何かなかったのだろうか。


「……ローザさん!」

「急に悪いねー、迎えに来ちゃった」


 この状況でふざけられても、どんな反応を返せばいいのか分からず戸惑うばかり。


「どうしてここに。辞めたのでは……!?」

「偶然連れ去られるところを見かけて、ね」

「あ」


 そういえば、自動車が出発する時、窓から人影が見えたような……。


「もしかして自動車の窓から見えた人影ですか?」

「あーうん、そんな感じー」

「あれがローザさんだったんですね。で、これから私をどうするおつもりですか」

「そう身構えないでよ。変なことなんてしないって」

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