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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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26話 休日の夜、平日の朝

 休日最後の夜。


 学校がある日は長く感じるのに、休みの日はあっという間に過ぎていってしまう。


 多少の差はあれど、きっと、誰だって一度くらいはこういう感覚を味わったことがあるはず。しかし、私の場合は、毎週のようにこの感覚を味わっている。リリィがいるようになってからは特に。


 それでも時間は待ってくれない。

 どんなに進まないことを願っても、確実に進んでいってしまう。


「はー明日からまた学校かー」

「嫌なの」

「そういうわけじゃないけどー、やっぱり、ね」


 休日は気楽でいい。

 周りに気を使うこともないし。


「帰ってくるの待ってるから」

「うん! ありがとう!」

「そうだった。日和、本借りててもいい?」

「え。本?」


 気づけばリリィは一冊の本を手にしていた。

 過去の数学の教科書だ。


「この本」

「数学の教科書? 読んでいいよ」

「ありがと」

「いえいえー。この部屋にある本は好きに読んでていいよ!」


 リリィにはいつも家にいてもらってしまっている。私が学校に行っている間は大人しくしてもらっている。リリィだって一人でいたらきっと暇だろう。自由に出歩いてもらうというのは難しいけれど、退屈な時間を少しでも楽しんでほしい。そのためなら、私の持っている本くらい、自由に使ってもらって問題ない。


「今までの教科書はこの棚にあるから、好きに使って」

「ありがと」


 翌日はよく晴れていた。

 爽やかな日差しが降り注いでいる。


 もうじき夏が訪れて暑くなってくるだろう。そうなると、自然に汗をかくようになって、愉快感が高まってくる。制服がいやに身体に張り付くようになってしまうのだ。脱いだり着たりもひと苦労、という状況に陥ることも珍しくはない。


 でも今はまだそこまで暑くない。

 ちょうどいい気候を今のうちに楽しんでおかなくては。


「おはよう!」

「あ、日和来たー。おはよー」

「暑過ぎず寒過ぎずでちょうどいいね!」

「だね」


 教室内はまだ冷房はかかっていない。が、それでも、過ごしづらいほど暑いということはない。薄い布で作られた制服ではないけれど、暑さはまだ感じない。


「昨日例の番組見た?」

「あ、忘れてた」


 このクラスになった頃から親しくしている友人——伊角(いすみ) 小雪(こゆき)は、テレビ番組に詳しい。ドラマや歌番組、バラエティなど、様々な番組について細やかに把握している。もちろん、そこに出てくる芸能人についても、たくさんの情報を持っている。


 彼女と同じくらい詳しくなるのは無理にしても、ある程度会話が成り立つようにと思って、いろんなテレビ番組を追いかけていた頃もあった。


 しかし最近はその活動を行えていない。

 なぜなら、リリィがいるからである。


「えー。また忘れたの? 先週も忘れてたじゃん」

「ごめーん!」

「もう、仕方ないなぁ」


 リリィと一緒に暮らすようになってから、リリィに意識が向くあまりテレビ番組を追いかける時間がなくなった。


「でもでも! 番組表が載ってる雑誌は買ったよ!」

「ヤツの特集あったでしょ」

「あった! 見た見たー! って、まぁ、そこまでちゃんと読めてないけど……」

「読んでないんかーい」

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