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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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20話 これはまさか

 やはりリリィはやきもちを焼いているのではないか、などと考えて、妙な嬉しさに包まれる。

 こんなことを勝手に思っている自分が少々おかしい人物であることは理解しているつもり。ただ、それでも私は考えることはやめられない。馬鹿げていると分かってはいても。


「ねぇリリィ」


 ある夜、私はふと思い立って話しかけた。


「何」

「リリィってさ、私のこと好き?」


 突然の問いにリリィは冷静さを欠く。


「はぁ!? ちょっ……何よそれ!? どういう意味!?」


 単に好きかどうかを尋ねただけなのに、リリィはらしくなく取り乱している。


 何か考えでもしたのだろうか?

 もっとも、そうだとしても私はべつに構わないけれど。


「どうしちゃったの? 慌てて」

「べっ、べつにっ! 何でもないしっ!」


 心なしか顔を赤らめるリリィ。


「そう? それで、好きか嫌いかの答えはどう?」

「嫌いとかじゃないけど……というか、まぁ、好きだけど……でも勘違いしないで! 特別とかじゃないから!」

「分かった分かった。もうこれ以上突っ込まないから」

「最初からそうして」


 これはやはり脈ありなのではないか?

 そんなことを思う。


 自意識過剰かもしれない。都合良く解釈しているだけかもしれない。でも、リリィの様子を見ていたら、私の想像が当たっているような気もする。もっとも、私が一人で考えても真実が明らかになることは絶対にないのだけれど。


「あ、一応付け加えておくとね、私はリリィのこと大好きだからね!」

「……そ、そう」

「急に言ったらまずかった?」

「べつに……そんなことはないケド……」


 リリィは気まずそうにしていた。


 その日の会話はそのまま何となく終わった。


 戸惑わせてしまった部分はあったけれど、リリィの気持ちを知れたという意味では収穫はあった。そういう意味では、思いきって尋ねてみて良かったと思う。あくまで、私の視点での良かったではあるけれど。


 私はリリィと仲良くなりたい。

 一緒に暮らして、絆を育んでいきたい。


 互いの思いを確かめ合ったからこそ、改めて強く決意することができた。


 やがて迎えた金曜日。


 学校から帰ってきた私は、家の前に立っている露澤さんことローザを発見する。


 彼は手に何やら紙袋を持っている。引っ越してきたからと挨拶に来た日に母親に渡していたものと同じデザインの紙袋だ。前回はティーバッグや焼き菓子のセットが入っていたが、今回も同じようなものだろうか。


 しかし気まずい。


 帰ってきたところでばったり遭遇するなんて、一番気まずいパターンではないか。


 とはいえ、ここまで帰ってきておいて別の道へ移動するというのもおかしな話だ。遠回りするにしても体力がいる。せっかくここまで帰ってきたのに彼のためにわざわざ無駄な距離を歩く、というのも、どうもすっきりしない。


 そう考え、取り敢えず刺激しないように帰宅することにした。


「あ、こんにちはー」

「こんにちは」


 今のところ不審な動きをする気配はない。

 だが油断はできない。


「うちに何かご用ですか? ご用でしたら母を呼んできます」

「お土産を渡したくて」

「分かりました。母を呼んできます」

「あ、あぁ……それはとてもありがたい、なぁ……」


 二人きりになるのは避けたい。

 取り敢えず母親を参加させよう。

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