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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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17話 アイスコーヒーな彼女

「無事到着ー!」


 入り口での手続きを終え、指定の部屋にたどり着く。

 特別広い部屋ではなかったが三人でも狭くは感じないくらいの敷地はある。


「いやーまさか夢見さんとカラオケに来ることになるなんてねー」

「うんうん。今まではあまり関わりなかったからね」


 クラスメイトになって既に一年は経過している。今年の春は組み替えがなかったから。しかし、夢見さんと関わるようになったのは少し前からで、こうして一緒にいるといまだに不思議な感じがする。この前の春には、こんな風になっているとは、少しも想像していなかった。


「今年の夏は遊べたらいいね! 夢見さん!」

「涼しいところがいいかな」

「夢見さん、暑いの苦手?」

「うん」


 私と夢見さんが喋っている間、リリィは興味深そうにモニターを眺めていた。


「飲み物取ってこようか?」


 前もって受け取っていた空のコップを持って立ち上がる夢見さん。


 リリィは今度はモニターの下側の機械のような部分をじっと見つめ観察していた。どうしても気になるらしい。彼女が何かにここまで興味を示すのは珍しい気がする。


「え。いいよいいよ、私が行くよ」


 夢見さんに任せきってしまうのは申し訳ない。


「じゃあ、一緒に行く?」

「私が行ってくるよ。何がいい?」

「うーん、アイスコーヒーかな」

「渋っ」


 思わず素直な感想を言ってしまった私を見て、夢見さんは控えめに笑う。


「浅間さんって、意外と面白いよね」

「そう?」

「好きな感じ」

「ありがとう! じゃ、行ってくるね!」


 私は空のコップを取り敢えず二つ持つ。私の分と夢見さんの分。そして、部屋を出て、ドリンクバーが設置されている場所まで急いだ。後でリリィの分も入れなくてはならないから、もたもたしてはいられない。


 私は炭酸飲料。夢見さんはアイスコーヒー。リリィは本人が希望したためミカンジュース。


「リリィちゃんはミカンジュースが好きなんだね」


 ミカンジュースが入ったコップを瞳を輝かせて見つめるリリィ。子どものような純真さを見せる彼女に、夢見さんは温かな眼差しを向ける。


「……まぁ、そうだけど」

「可愛いね」

「う、うるさいっ。いきなり馴れ馴れしくしないで」

「ごめんね。でもね、変な意味じゃないんだよ? 良い意味なんだよ?」

「ふん……。あっそ」


 リリィは不機嫌そうだ。夢見さんに話しかけられても、嬉しそうな顔は一切しない。むしろ、話しかけられれば話しかけられほどご機嫌斜めになっていっているような気すらする。


 嫌いオーラ全開で対応されている夢見さんが少々気の毒ではあるけれど……。


「浅間さんは炭酸なんだね」

「うん! 夢見さんは好み渋いよね、アイスコーヒー」

「親がコーヒー好きだったから。家庭環境もあるかな」

「へぇー」


 夢見さんはミルクを入れるでもシロップを入れるでもなくそのままアイスコーヒーを飲んでいる。それも、慣れた様子で。特に無理をしている感じもないから、多分、彼女にとってはそれが普通なのだろう。


「あ、そうだ。聞きたいことがあったんだけど」

「いいよ」

「夢見さんの名前って確か……」

「風花、かざはな、だよ」


 夢見さんはにっこり笑顔で素早く答えてくれた。


「はなちゃんて呼んでいい?」

「その呼び方は初めてかも」

「さすがにまずいかな……?」

「ううん、それでもいいよ」

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