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綾瀬有希子は諦めない  作者: 東洋連合
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第3話 お誘いがいっぱい!

こんにちわ。

暇になったので更新します。

 有希子たちが語学クラスに合流し、1週間が過ぎた。慣れない環境での授業に四苦八苦する有希子と一恵だったが、特にこれといったトラブルも無く無事に最初の週の授業を乗り切った。そして、最後の授業終わりに有希子が一恵や玲と一緒に教室を出ようとしたその時…。

「ねぇ、有希子。今週終わったし、よかったら俺とディナーでもどう?」

 オシャレな服を着た背の高い赤毛の学生が有希子に話しかけてきた。いわゆるナンパである。その学生も中々の美男子なので誘われたらついていく女性は多いと思うが…。

「ごめんなさい、ジョニー。今日はこの後約束があるから行けないわ。お誘いはありがとう。」

 有希子はあっさりと断った。因みに断られた男子学生は、有希子と同じクラスでルーマニア出身のジョニーという生徒である。ジョニーは断られて落ち込むかと思われたがそうではなかった。溜息交じりに苦笑いすると手を振りながら彼は言った。

「ふぅ、そりゃ残念。じゃあ、また今度!次はいい返事を期待してるよ!」

 それだけ言い残すと彼はさっさと教室を出ていった。すぐそばにいた一恵と玲が微笑みながら有希子に言う。

「有希子先輩、またナンパですか?」

「すごいわぁ、有希子。モテモテやん!」

 少しからかうような様子で二人は有希子に話しかける。有希子の方は不満そうにため息をつきながら呆れ口調で言った。

「全く…どうしてここん所こうなのよ?」

「これでもう5人目ですもんね。」

「まるでかぐや姫やな!」

 二人が言うように、有希子は留学してからよくナンパされている。初めてナンパされたのは授業初日の夕方で、ラトビア人から。その後もイタリア人、チェコ人、トルコ人の学生からナンパされ、先程のルーマニア人のジョニーが五人目という訳だ。

「でも、そんだけ誘われたんなら一人くらい付いて言ってもええんちゃうの?」

 玲が首をかしげながら言う。そう、有希子はこれまでのナンパを5回ともすべて断っているのだ。それも少しも悩まずに即答である。留学先で恋人が欲しいという女性も多い中、有希子にはそんな願望はみじんも無かった。そんな有希子は玲に問う。

「じゃあ、玲は付いていくの?」

「うーん、どやろ?相手によるわ。めっちゃ好みのタイプで大丈夫だと思ったら付いていくで!」

 玲は少し悩んでそう答えたが、有希子は心の中で「そんなもんか」と呟いた。そして、鞄をしょい直して歩き出す。

「さあ、行くわよ。もうおなか減り過ぎて我慢できない!」

「ちょ、待って下さいよ有希子先輩!」

「置いてかないでー!」

 有希子はよっぽど空腹だったのか、駆け足で夕飯を食べに向かった。そんな有希子を一恵と玲が慌てて追いかけていったのだった。


 場所は変わって、ここは学校近くのとあるレストラン。有希子達は授業が終わると大体ここに来て夕飯を取っている。店に入り、案内された席に座った有希子達3人はそれぞれ料理を注文した。注文を終えて店員が去っていったタイミングで、玲が有希子に質問する。

「なあ、有希子。何でナンパすべて断ったん?」

 その質問に対し、有希子はマシンガンの如く吐き出すように答えた。

「私、誘ってくる男苦手なのよね。好きになったら自分から誘いたいの。あと、ナンパしてくる奴はさっきのジョニーじゃないけどチャラいイメージしか湧かなくて無理。私はまじめで優しくて誠実な人が好きだから。」

 そう言った有希子に対し、玲は「お、おう。そうなん…」とコクコク頷いた。有希子か男性から誘われるのを嫌がるのには訳がある。それはかつて、電車内で知らない男性に声を掛けられて付きまとわれたことが少しトラウマになっているからだ。それを知っているのか、一恵が少しからかうような笑みを浮かべて言った。

「有希子さん、電車でジジィに絡まれたのが怖かったって言ってましたもんね。でも、その後助けてくれた人に惚れて、自分から告白しましたもんね!」

「ちょ、一恵ちゃん!それ言わないでよ!」

 一恵の言葉に有希子は顔を真っ赤にしながら両手を頬にあてた。その反応を見て食いつかない玲ではなかった。

「え、有希子好きな人おったん?どんな人?知りたいわぁ!」

「同じ大学で、私と同学年ですよ!多分、学校内で一番イケメンです!」

「もう、やめてよ。恥ずかしい…。」

 有希子は茹でダコの如く顔を赤くし、むくれながらそう言った。そして、玲は一番気になっていることを聞いた。

「告白したんやろ?その後どうなったん?」

「振られたわよ、えーん!」

 有希子はその事を思い出し、涙目になりながらテーブルに突っ伏した。そして、玲は申し訳なくなったのか、有希子に謝る。

「す、済まんかった有希子。でも、こんな綺麗な有希子を振るなんてその男どんな奴や!泣かせるんは許さへんで!」

「うう…ごめん、取り乱した。この子よ。」

 そう言って有希子はスマホに保存されている写真を見せた。そこには有希子の片思いの相手であるイケメン男子、森拓人が映っている。

「え、ちょっと待って!めっちゃカッコええやん!ほんで一恵と同学年やから、うちより年下…。こりゃ、有希子が惚れるわ!でも、勿体無いな。有希子を振るなんて。ちなみに、名前は?」

「森拓人君です。カッコよくて勉強も出来て、運動神経抜群な完璧男子なんですけど、凄くシャイな上に恋愛に消極的なのが玉に傷ですね。」

 一恵はそう説明した。そして、さっきまでお怒りモードだった玲は拓人の写真を見てすっかりニヤニヤ笑顔になっていた。

「森君かぁ。これはうちも同じ学校やったら告白したくなるわ。でも、有希子綺麗やし、もっと誘惑したら今度こそ森君惚れさせられるんちゃうの?」

「恋敵が二人もいるのよ。森君はただの友達にしか思ってないけど、二人とも森君のこと好きだし…。」

 有希子はモジモジしながら別の写真を見せる。そこにはタクトの幼馴染で韓国出身の留学生、尹寶藍(ユンボラム)と、元ホストファミリーでアメリカ出身の留学生、ステイシー・バーネットが映っていた。その写真を見た玲は目を丸くしながら…。

「…あかん。こりゃ、強敵や。うちなんか論外やな。でも、有希子なら勝てるって信じてるで!」

「そうですよ。一回振られたからって何ですか!好きになったら何度でもアタックして、分かってもらえるまでアピールですよ!」

 玲と一恵に励まされた有希子は、微笑みながら礼を言う。

「フフ、ありがとう!あ、料理が来たわ!食べよう!」

 ちょうど3人の料理が運ばれてきたので、楽しいディナータイムが始まった。様々な思いを抱えた有希子の留学生活は、まだまだ続く。

こんにちは!

3月になりました。

今年度もよろしくです。

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