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3 ステータス

「何なんだ、これ?」


 何の前触れもなく目の前に現れた謎の画面、ゲームなどでよく見るステータス画面の様な物が現れて驚いた。そしてその画面は、二十秒ほどで目の前から消えた。


《あぁ、鑑定眼だね。それは女神の加護を貰った人なら誰でも見られる物で、対象のレベルやスキルなどの情報が表示される物なの》


「ほぉ」


 という事は、俺以外にも他の勇者にもこれが見えるのか。

 つまり、俺がさっき見ていたのはハバキリの情報なんだな。それにしても、不壊や絶対斬撃や魔力吸収付きのランクSの武器って、超最強じゃん。しかも、持ち主固定や盗難防止まで付いて。


「ま、デリウスが鍛えた刀ならチート能力があっても不思議じゃないか」


《いやぁ~照れるなぁ~》


 さりげなく名前で、しかも呼び捨てで呼んだのに本人は全く気にしている様子がなかった。


「それはそうと、このステータス画面ってどうやって出したり引っ込めたり出来るんだ?勝手に出てくるなんてのは無しだぞ」


《流石に勝手に出てきたりしないって。対象の能力若しくは情報が知りたいって思ったら、対象を見ながら頭の中で『ステータス』と唱えると二十秒だけ出てくるわよ。今回は初回という事だし私が出してあげたけど》


「ふうん」


 まぁ、口に出す必要がないというのはありがたい。頭の中とは言え、いちいち呪文みたいのを唱えないとダメなのがネックだけど。


《まぁそれも、レベルが上がれば呪文を唱える必要もなくなり、ただ意識するだけで出す事も出来る様になるわ》


 レベル?この世界にはそんな物が存在するのか?


《あるよ。戦闘とは無縁の一般人ならレベル3~6と幅はあるけど、魔物や盗賊戦う機会が無ければ当然よね。低級だと、レベル18~25って所ね。中級、つまり一般の冒険者だとレベル26~40で、上級の冒険者となれば一気に上がってレベル50~70以上になるわね》


 今さりげなくとんでもないワードが飛び出してきたのだけど。何?この世界には魔物や盗賊が普通にいるのか!?しかも冒険者って何?そんな職業がこの世界には存在するのか?


《他にもスキルというのも存在するわよ。魔物は魔王が現れる前からこの世界に存在し、無制限に発生するものだからそれを討伐する冒険者の存在が必要不可欠なのよ。それで、その冒険者稼業で失敗すると食うに困って盗賊になってしまう事もあるんだ。そういう奴って、大抵が殺されるか奴隷に落とされて鉱山送りになるのが関の山なんだけど》


 奴隷制度まで普通に存在するなんて、この世界の文明レベルって物凄く低いのか?


《君が住んでいた世界に比べたらかなり低いね。中世ヨーロッパ辺りの文明レベルって所ね》


「ええ・・・・・・」


 そんな世界で、現代日本の恵まれた世界から来た俺は果たしてやっていけるのだろうか?いくらデリウスのサポートがあっても。


《話が逸れてしまったけど、何もない所で『ステータス』を唱えると自分のステータスを見ることが出来るから試しに唱えて見て。頭の中で」


「分かってるって」


 そう言って俺は、目の前に広がる草原に向かって『ステータス』を唱えてみた。

 すると、目の前に先程と同じステータス画面がポッと表示された。


=========================================


 名前:帯刀翔馬       年齢:十七

 種族:人間         性別:男

 レベル:1

 MP値:100

 スキル:刀術S   剣術S   槍術S   柔術A   料理B   格闘術C

     火魔法F

 その他:刀の女神の加護


=========================================


 予想通りとはいえ、レベル1というのはちょっとだけ凹む。それなのに、刀術と剣術と槍術のランクが異様に高いのはちょっとアンバランスな気もしなくもない。料理がBなのはおそらく、前の世界でよく料理を作っていたのがそのまま引き継がれたのだろう。

 ただ、スキルの欄に身に着けた覚えのない火魔法がFとはいえ存在していた。

 そんな事を思っているとあっという間に二十秒が経ち、ステータス画面は目の前からゲーム的な音と共に消えていった。


《火魔法は私の加護を授かった事で一緒に付いたのね。火がないと、刀を鍛えることが出来ないからね》


 という事はあなた、魔法は火魔法が得意なんだね。


《だけど、MP値が100では煙草に火を点ける程度の炎しか出せないから実践では全然使えないわね。しばらく使用は禁止ね》


 100でスゲェと思っていたけど、実はかなり低い数値だったんだね。だから、火魔法のランクがFとかなり低いのだね。


「どうやったらMPを上げられるんだ?」


 せっかくの魔法も、このままでは使い物にならない。巻きに火を点けるくらいは出来るだろうけど、それだけだ。


《一番手っ取り早いのは、魔物を討伐する事ね》


「ほおぉ」


 一瞬そんな事で良いのかと思ってしまったが、よくよく考えてみたらかなりリスクが高いのではないでしょうか。みっともないけど、俺の現在のレベルはたったの1。いくらデリウスから良い武器を貰っても、こんなレベルでは大したダメージも与えられないだろう。


《そんなに心配しなくてもいいよ。レベル1でも刀術及び剣術は最高ランクのSなのだからゴブリンやファントムウルフくらいなら楽勝で倒せるわ。ま、ここでの戦いに慣れてもらう為に最初はスライムみたいな低級の魔物から相手にした方が良いでしょう》


 どこの世界でも、スライムは最弱の魔物にランク付けられるんだな。


「その場合、MPはどのくらい上がるんだ?」


《そうね‥‥‥どんなに高くても十くらいしか上がらないわね。ちなみにゴブリンを倒すと、百三十から百三十五上がるわね》


 クソザコじゃねぇか!それだったらまだゴブリンを相手にした方が百倍マシだ!


《初心者の分際でいきなりゴブを相手にしようと思うな。元はと言えば、MP値がたった百しかない君が悪いの。勇者召喚を行ったのは私は初めてだけど、他の四人のMP値は君の三十倍だぞ。君のMP値が特別低いだけなの》


「マジかよ!?」


 他の勇者のMPは三千もあるのかよ!さっきのステータスから推測すると、俺は完全に前衛タイプだったんだな。逆に言えば、俺には魔法の才能がないと言う事なのかな。何だか凹むな‥‥‥。


《そんなに落ち込まないの。例え十でも、数をこなせばちゃんと経験値として換算されるし、おまけにレベルも上げられるのだから一石二鳥だよ。それに、いきなりSランクのスキルを持つっていうのだってかなりすごい事なのよ。他の四人のスキルはどんなに高くてもBまでだから快挙だよ》


 励ましてくれているのだろうけど、それでも何だか腑に落ちない。こんな調子で、本当にこの先やっていけるだろうか?


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