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ブラックパンサー

「ブラックパンサー」

2018年公開

監督:ライアン・クーグラー

製作:ケヴィン・ファイギ

原作:スタン・リー

出演:チャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、等

 今回は「ブラックパンサー」です。

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では「シビル・ウォー」で初登場し、その後「インフィニティ・ウォー」でも活躍していたキャラクターにもなります。

 今回はそのブラックパンサーがメインの映画という事で、多少ネタバレしつつ魅力を語っていきたいと思います。

 特に本作、ただのコミックの実写化に限らず、「アフリカ」という要素をとにかく詰め込んだ作品でもあるんです。


 まず物語は、ワカンダという国家の生い立ちから描かれます。

 遙か昔、ヴィブラニウムと呼ばれる鉱石を含んだ隕石が衝突し、ヴィブラニウムによって高度な科学技術を持つ超文明までに発展したのです。しかし、他国との対立を恐れたワカンダは自らを隔離します。


 人類の発端は、アフリカの赤道付近のジャングルと言われており、ここから二足歩行や道具の作り方、火の使い方を覚えた人類が世界へ広がる訳です。まさにアフリカからの人類の起源を描くような世界観でした。

 また、冒頭の世界観は黒い砂によって表現されますが、この砂もまるでブラックパンサーや、アフリカの広大な大地を表現するかのようでした。


 そして現代、ワカンダ王国では爆破テロによって死亡した王、ティ・チャカの跡継ぎとして若い息子のティ・チャラが王となりました。


 ここで王位継承の儀式があったのですが、まさにアフリカ奥地の村に居るような気分でした。儀式自体はもちろん、あらゆる民族が集まって儀式する様や、民族同士の対立がまさにアフリカの村同士の関係を思わされました。

 あと、ここで特にワカンダとの対立が特に強い民族が出てきて、王位継承権を決める決闘がなされましたが、こちらも景色と相まって大迫力でしたし、アフリカ文化を象徴する武器も出ていました。


 そして場所は変わってロンドンの博物館、クロウという男が襲撃します。クロウは博物館にあるヴィブラニウムが狙いでした。彼はヴィブラニウムや武器の密輸によって南アフリカのブラックマーケットを仕切っている人物だったのです。

 ティ・チャラにとっても友人や家族に因縁のあるクロウを捕らえる為、彼は親衛隊を連れてクロウが居る韓国・釜山へ行きます。


 ここからCMでも有名になっていたカーチェイスシーンがありました。車から車へ飛び乗るブラックパンサーはカッコよかったですね。他にも景色が歪まんとばかりのアクロバットに、遙か離れたワカンダからの車の遠隔操作だとか、受けた攻撃のエネルギーで衝撃派を放ったりとか、テクノロジーもきちんとあって面白かったです。


 ようやくクロウを捕まえたティ・チャラ一行でしたが、取り調べをしていた突如、クロウと屈託していたエリックという黒人青年が襲撃し、クロウを奪還、そして味方一人が重傷を負います。

 負傷した味方を治療するため、ティ・チャラ達は一旦ワカンダへ帰国する事となりました。

 一方、クロウはエリックに裏切られ、殺されました。そしてエリックはワカンダを訪れました。


 エリックは実は、先代の王ティ・チャカの亡き弟、ウンジョブの息子、つまりティ・チャラのいとこにあたる人物でした。エリックには王位継承権があり、こうしてまた儀式が行われます。

 そしてエリックはティ・チャラを谷底へ落とし、王となります。


 この辺りはネタバレを考慮しますが、内容は深いもので、特にエリックの過去に関してが明かされるのですが、一つの家族のドラマとして泣ける部分がありました。

 アフリカの文化として、父親が主権を握る家庭なのですが、その「父親」をめぐる表現としてこの辺りは名シーンでしたね。特に主人公、ティ・チャラと境遇が似ている事もあって。

 こういうヴィランに関するドラマがあるのもまたアメコミ映画の醍醐味とも言えますね。というかキャラクターが全く無駄にならないんですわ。


 王となったエリックは世界各地に散らばるワカンダの同胞へ武器を送ろうと企てました。そしてティ・チャラの母と妹は王位関係者として迫害される事を恐れ、逃げ出します。


 アメリカ等では昔から黒人差別が行われており、今でも一部差別や迫害が残っている部分もあります。特にこの作品でも黒人への迫害に対する黒人達が描かれていました。現実でも武力による反抗が未だに残っていますが、まさにそんな姿をそのまま映したようでした。

 こういうメッセージもまた魅力の一つだと思います。やはり弱者が強者へ立ち向かうというものこそ人々の良心に訴える事もありますし。


 逃亡したティ・チャラの妹達は助けを求め、ワカンダに住む民族の一つ、ジャバリ族の元へ訪れます。そこには仮死状態のティ・チャラが居ました。


 これ以上はネタバレが怖いので内容はあまり語らない事にします(笑)

 ですが、ラストの戦闘シーンは大迫力でしたね。ブラックパンサーならではのアクロバットはもちろん、空中戦に民族同士の壮絶な戦い、そして最終決戦。特に複数の民族が存在するワカンダならではの民族同士の戦闘は、まさにアフリカの村同士の対立にも見えましたね。


 最後に内容を言うと、ワカンダには文化的な「古さ」と文明的な「新しさ」の二つが存在しています。それらを踏まえて、このワカンダという国家がどんな道を歩むことになるのか、それがラストで描かれています。まるで世界へ一歩踏み出したアフリカの小国みたいでした。


 ついでに、少し映画の内容から離れて音楽についても語りたいと思います。

 ブラックパンサーの音楽はどれも黒人文化を象徴するようなものばかりで、アフリカ民族楽器やヒップホップ、ブルースといった要素が散りばめられています。特にアフリカの打楽器が聞こえてくる時にはスクリーン上に映し出される景色も相まって、まるでアフリカに居るような気分になりました。

 ブラックパンサーはまさに「アフリカ」なんです!


 以上、ここまで読んで下さりありがとうございます。

 ワカンダフォーエバー!

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