表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

4「死なない薬」

4「死なない薬」


 博士は五十年の歳月をかけて、「死なない薬」を開発した。これこそ、彼が、いや、全世界の人々が待ち望んでいた薬だ。これさえ飲めば「死なない」のである。


 博士の人生の半分をかけた「死なない薬」は、入手困難な材料や非常に手間がかかる製造工程のため、完成品はたった1錠だけだった。


 博士はさっそく、たった一錠の「死なない薬」を飲んだ。

「おー! これで私は死なないのだ!」、と満足感でいっぱいだった。しかし、薬を飲んだところで何も起こらず、普段と何も変わらないのだった。

「博士、『死なない薬』の完成おめでとうございます」と助手の富田林くんが言った。

「富田林くん、ありがとう」と博士は答えた。

「永遠の命を得たわけですね」

「いや、そうではない。薬というものは、効き目が継続する期間があるのだよ」

「では、その薬はどのくらいの間、効き目があるのですか」

「それを今、試しているところだ。五年か、七年か、十年か、私の寿命が来ても死ななければ、薬が効いているということだ」

「では、博士の寿命は何歳ですか?」

「それがわかっていれば、寿命の一年前に飲むのだが。もし、私が死んだら、その五年か、七年か、十年か前が私の寿命だったということになる」

「なるほど、それで薬の効果は五年か、七年か、十年だということがわかるのですね」

「そういうことだ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ