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絶対不運の実力主義者《アビリティエスト》  作者: Haruma
第一章 超絶不運の始まり編
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第十二話 どこから不運で、どこから意図的で

 


 悠磨が起きてから、歩くこと約二十分。

 木々を抜け、悠磨の目に入ったのは、とてつもなくでかいドーム状の光のようなものだった。



(もしや……結界!? こんな世界に!?)


 そして真正面には門と門番。悠磨は次に来る展開を予想して、ため息をついていた。



「ハンター証、もしくは許可証を出しなさい」


 門番は無表情に、落ち着いた声でそう言った。



(やっぱそうくるよな。何度目の不運だか……いや、常識的判断だよな。さて、説得するか、諦めるか……)


 あれこれ考えているうちに、悠磨以外は証を見せ終わっていた。

 すると、


「君は? 早くハンター証か許可証を見せなさい」

「ないです」


 そう即答した途端、急に顔が険しくなった。


「貴様、まさか外の者か! ならばここを通すわけにはいかん!」


 明らかに厳しくなった。

 頭固そうだし、どうやって交渉して入れてもらおうか……と思った時、



「こ……この人助けてくれたんです。いれてあげてください」

「そうッスよ!」

「俺らが死にそうになった時、助けてくれたんだ。だから……」


 みずなとハンター二人が説得しようとしてくれた。だが――



「外の者は入れない。これは規則だ! いかなる理由があろうと、許可のない者は通せん!」


(ほらな。いかにも頭固い系じゃん)


 だが、反論は続く。



「で、でも……この人いなかったら私たち……」

「そうっすよ。この人いなかったら俺たちみんな死んでるッスよ」

「この人は強かった。俺のチームに入れたい。だから――」

「規則は規則だ! 例外はない!」


(あーこりゃ無理っぽいな。ていうかリーダー話ちょっと違ってない!?)



 やがて、みずなは黙り込んでしまった。だが、二人はまだ続けている。


「あとあのクマタロウも倒したんッスよ! しかも一人で!」

「さすがにプロとして負けるわけにはいかない。だから――」

「規則だと言ってるだろ! こっちの話を聞け!!」


(クマタロウ? まさか……さっき戦ったアレ!? いやいやおかしいでしょ!? 名前てきとーすぎでしょ!? 強そうな感じしねぇよ! だれだこんな名前つけたヤツ!)


 心の中で全然違う方向にツッコミを入れていた悠磨は、ここでいったん落ち着いて、二人を見る。

 だが、二人と門番の言い合いは、両者がともに自分の意見をゴリ押しているだけで、収拾のつかないことになっている。



(こう見ると面白いな、あの二人。話をまったく聞いてない。けど、いい人なのは確かだな。出会って間もないのに、こんな必死に説得してるんだから。まったく話を聞かないけどな!)



 するとそこへ、


「いいじゃん。入れてあげても」


 明るく、テンション高めの声で、いかにも偉そうな人が出てきた。パッと見スーツのような、高級感のある服を着ている。

 そして、門番は困惑した表情をしていた。



「いや、しかし……」

「僕が言うからいいんだよ。それに、強い人は大歓迎だ」


 誰かはもちろん知らないので、隣にいるみずなに小声で聞いた。



「あの人だれ?」

「え……有名人だよ? ユーくん、知らないの?」

「いや、知らん」

「理事長だよ。仮宇土高校の」

「理事長……か」



 ふと、悠磨の頭の中で、


(かりうど? 狩人って書くのか?)


 ものすごくどうでもいい疑問が浮かんだ。その時、


「さて、一緒に来なよ。ユーマくん」


 いつの間に話が終わっていて、理事長から話しかけられる。



(……ちょっと待て)


 半分疑問、もう半分は警戒を含んで、尋ねた。


「すみません。なんで俺の名前知ってるんですか?」

「え? だってさっきその隣のコが言ってたじゃん」


(それはユーくん(・・・・)で、ユーマくん(・・・・・)じゃねぇけどな)


 その男はニヤニヤしながら、悠磨を見ている。

 怪しい、胡散臭い、そんな言葉がぴったり当てはまるような言動と態度。


(負傷者もいるし、ここで時間を取らせるのはマズイな。仕方ねぇか)


 いろいろ聞こうと思ったが、あえて追及はしなかった。



「そうですか」


 そう答え、悠磨はフッと鼻で笑った。

 すると理事長は、その意図を察したのか、クスッと笑った。


(やっぱコイツ……ぜってぇ後で問い詰めてやる)


 やがて、理事長含めた全員が門をくぐり、トンネルに入る。悠磨もそれについていきながら、いろいろ考え始める。



(俺は運が悪いから、こんなご都合主義なこと起きるはずがない。なのに、この絶妙なタイミング。まるで、俺がここに来ることを知っていたような……まさか…………俺をここに、この世界に呼んだのはアイツか?)


 一つの仮説が、彼の頭をよぎる。


(じゃあ仮にアイツが俺をここに飛ばしたとして、どこから不運(・・・・・・)で、どこから意図的(・・・・・・・)なのか……。俺を拉致ったヤツら……モンスター……一体どこから…………いや、ダメだ。情報が少なすぎる)



 しばらく歩くと、トンネルの出口が見えて、光が差し込んでくる。


(さて、中はどうなっているのか。異世界だと中世ヨーロッパが定番だが……)


 いつの間にか、またマンガ脳モードになっていた。


(いや、あれほど荒れていたんだから終末都市とかそんな感じだろう。人口もかなり減って、食料も少なくて、きっと大変だろうな)



 しかし、悠磨の予想とは少し――ではなく大幅に違っていた。

 悠磨が目にした光景は――――





 空は青く、穏やかな雰囲気。太陽らしき光が降り注いでいる。

 ピンク色の花をつけた、桜かと思われるような木が所々にある。

 そして、それなりに多くの人が行き交っている。


 学校の制服や、スーツを着た人もいれば、ポロシャツやジーンズを着ている人もいる。日本に近いファッションで、異世界モンによくある、貴族らしき人は見当たらない。


 街並みは、木構造、鉄筋コンクリート造の建物が多く見受けられる。看板の字は独自言語――ではなく、日本語だった。ひらがな、カタカナ、漢字全てある。

 まるで日本の昭和のような、レトロな雰囲気を漂わせていた。




(世界観……変わりすぎだろォォォォォォォォォォ!!!!!)


 人生で一番のツッコミだった。口には出してはないが。

 表情はいつもは変化しないが、今回は眉がほんの少しピクッと動いてしまった。

 それに気づき、理事長がまたニヤニヤしたことに悠磨は気づかなかった。




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