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絶対不運の実力主義者《アビリティエスト》  作者: Haruma
第一章 超絶不運の始まり編
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第十話 不運を覆してこそ、本物の実力者

 


 悠磨は一気に接近した。モンスターはグガァ――と声を上げ、左腕で殴り掛かってくる。


 その攻撃を、低い姿勢になってかわし、懐に潜り込む。



「はあぁぁ……ッ!」


 左手の大剣で右上へ斬り上げる。

 その勢いで身体を回転させ、流れるままに右手の刀で同じように斬り上げ。



(攻撃する隙を……与えるな!)


 今度は刀と大剣を右肩まで持ち上げ、ななめに振り下ろす。

 さらにそこから、居合斬りのように構え、刀で水平斬り。

 次々と切り刻まれていき、血飛沫を撒き散らしながら、モンスターはひるんでいた。


 怒涛の五連撃。



 少し離れた場所から見ているみずなは、悠磨のすざましい連続攻撃に、


「すごい……」


 と、感嘆の声をもらしていた。



 しかし、ここでモンスターが一歩下がる。

 一瞬だが、悠磨の攻撃が止んでしまう。

 そのわずかな隙に、右腕で薙ぎ払い攻撃。至近距離からで、避ける間もない速度。



「あぁ……!」


 みずなは反射的に目を閉じてしまった。だが――




 悠磨はそれをジャンプしながら、左手の大剣で受け流すように、タイミングよく引く。

 モンスターの攻撃は、爪と大剣が当たって、ギイン――と不快な音を立てるだけで、悠磨には直接当たらなかった。

 また、それによってモーメントが生まれ、身体は扇風機のようにぐるぐると、空中で回転する。風を切る音が、生まれる。


 さらに、その勢いを載せ、右手の刀で関節部分と思われる肘に、斬りつける。


 刀がえぐりこんだが、身体の回転は止まらない。

 だが、悠磨はその勢いのまま大剣を――



「は……あぁぁぁ!!」


 渾身の力を込めた一閃が、モンスターの右腕を切断。

 切り離された腕は、血を振りまきながら空中を舞う。



「グギャァ――!」


 その腕が落ちると同時に、敵はうなり声を上げる。

 そして後ろに数歩下がり、距離を取ろうとした。

 

 しかし悠磨は、


「逃がさねぇ!」


 着地した瞬間に間合いを詰めて、敵の左脚に右の刀で突き刺し、横一閃。さらにその勢いを載せて回転、大剣と刀で横薙ぎ。三連撃。


 モンスターはバランスを崩し、左腕と半分切れた腕で地面につく。

痛みを堪えているかのようなうめき声を、敵は上げている。


 その隙に、その左腕へ、刀を右上から左下へと斬り下ろす袈裟斬り。そして両手で同時に水平斬り。皮膚を裂き、肉をもえぐり取り、血飛沫ちしぶきを散らす。再び三連撃。


 モンスターは完全にバランスを崩し、うつぶせに倒れた。



 重く、鋭い十三連撃。敵に大量の出血を負わせていた。



 今度は、ウロコのない背中の側面に、二本の剣を突き刺した。

 血が飛び出て、その瞬間――



「うおおぉぉぉ……!」


 悠磨は走りながら、二本の剣で胴体を切り裂く。

 ブシャ――と、勢いよく血が噴き出す。



 やがて悠磨はモンスターの頭の隣に来る。


 二本の剣を勢いよく抜き、肩に乗せる。

 そして、敵の頭へ二本同時に――



「はああぁぁぁぁ……!!」


 力を込めて、思いっ切り振り下ろした。



「グ……ギャァ……ァ…………」


 モンスターは弱ったような声を出す。

 どうやら頭が弱点だったらしく、腹より深くえぐりこむ。

 大量の血が噴き出て、悠磨の服や顔につく。


 だがそんなことはお構いなしに、手に力を入れ――



 力を振り絞り、ねじ込むように突き刺した。

 モンスターの顔はぐちゃぐちゃになり、うめき声をあげ、やがて腕や脚がぐったりとして――――






 完全に息絶えた。






「つ……強い……!」

「た……助かった……!」


 ハンターの二人は驚きの声をあげ、



「よかった……」


 みずなは安堵していた。


 負傷者を含んだ他の人たちも恐怖から解放され、喜んだり、中には泣いてる人もいた。



(どうにかなったな……)


 と、悠磨はそんなことを思っていると、


「ユーくん!」


 みずなが駆け寄ってくる。

 悠磨は「おいおい、足は大丈夫なのかよ」とツッコもうとしたその瞬間――――



「うっ……」


 身体の力が一気に抜けて、悠磨は倒れてしまった。

 緊張の糸がとけてしまい、今日の疲れがいっぺんにやってくる。


(ここまで生き残ったのに……ここで倒れたら……)


 だが、身体は言うことをきかず、やがて意識が完全に途切れてしまった。




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