忘れられない男
君は牛乳のようだ。
確かに君の身体はホルスタインのように肉欲的であったけども、そうじゃない。
ぬるい牛乳は喉がカラカラの時にはあまり適さない。
口の中に残るねっとりとした感覚が火照った身体には心地悪い。
みんな風呂上りに瓶牛乳を飲むけれどあれだって本当はそんなに旨いもんじゃない、
只なんとなく雰囲気で飲んでるものだから。
君が牛乳のようなのは他に理由があるんだ。
それはなんだか上手くいえないけど、例えば君の色白な身体は牛乳の白さと同じ、
口に入れるまでもなく軟らかさが伝わる白さ。
いや、違う。そうじゃない。僕が言いたいのは君の身体じゃないんだ。
もっとこう、なんて言うか、全体的なイメージの話。
牛乳の持つ健康的だけどどこかエロスな感じに近いというか、火照った身体には
心地悪いねっとりとした感じが君の身体に近いというか。
いや違うんだ。そうじゃない。ほんとにそんなつもりじゃない、僕が君に伝えたかったのはこんなことじゃないんだ。
そう!どちらかといえば君は卵だ、牛乳よりも卵に近い。
硬い殻は真っ白でサラサラでツルツルして、誰も手をかけることが出来ない頑なな表面。仕事中の毅然とした君の態度そのものだ。
ほら、身体じゃないだろ。
殻の中は僕を包んでくれた、形があるようで無くてあやふやにだけど確かに君は包んでくれた、それが白身。
ほらね。
そして君の中にある本当の部分オレンジで一番濃い黄身の部分、裸になって抱き合って確かめる君の本性。ねっとりとした君が普段かくしている部分、誰にも悟られないようにしている僕だけが知ってるキミの部分。
ごめん誤解しないでくれ、僕は決していやらしい気持でこんなことを君に言っているんじゃない。
ああ、待って! 電話を切らないで、ホントにそんなつもりじゃないんだよ。
ほんとうにごめん。只君が僕だけのものだった日々ががあまりにステキでそれを伝えたくて。
そりゃ世間的には君は彼のものだったけどその時の君は紛れもなく僕のものだった。
僕にとって君は大事なものだからそれを伝えたくて、君が完全に彼のモノになったとしても君の本当の味を知っているのは僕だけ。君といた日々はぬるい牛乳みたいに口に入れたときに甘さが広がって、卵みたいに包んでくれたその甘さがあまりに君に似てたから、只それだけなんだ。
ありがとうございました。そしてごめんなさい。




