ぼくの愛に触るな
ぼくの愛に触るな
汚い手で触れるな
ぼくは今だあなたを愛しているけれど
あなたに ぼくの愛に触れてほしくはない
これはぼくのものだ
ぼくの愛だ
肥え太ったぼくの愛は もはや
その対象であるあなたすら 必要としなくなったのだ
出て行ってください ぼくのこころから
この愛は ぼくだけのものだ ぼくの宝だ
あなたがぼくに与えたのは 憎しみと 苦しみのみ
そして憎しみや悲しみは こんなにも 愛を 汚してしまうのですね
いや そもそも 愛そのものが 穢れなのでしょうか はじめから
ぼくは愛を見たのです
それは暖かく金色に
明るく白く輝いて
とてもとても美しかった
ぼくはまた 憎しみも見たのです
それは眩く青白く
時に小さく瞬いて
とてもとても美しかった
しかし ぼくは あなたを通して
宇宙とぼくとがひとつであること ぼく自身が世界そのものであること
永遠は一瞬で 一瞬は永遠であることを 知ったのです
なんの神秘でもなく あたりまえのように 理解したのです
なのにそれを体現するあなたは 不思議そうな顔で ぼくを見ているだけなんて
さあ 手を触れないで そっと 出て行ってください
ごきげんよう ぼくの愛そのものだったひと