2. 池袋 大勝軒七福
池袋の西、メトロポリタン口に程近い場所に赤い看板を掲げる、ここはラーメン屋だ。
店名が示すとおり、『つけ麺』の名を一躍全国区に押し上げた東池袋大勝軒の系列である。
今ではつけ麺屋もさまざまに増え、本店たる東池袋の店も閉じ、創業者の山岸一雄氏も亡くなられてしまい、往時に比べて客の選べる味は多種多様に増えた。
それでいてこの店は、昔も今も、味は一切変わらぬ。
濃厚な魚介のつけ汁に、大勝軒特製の太打ち麺を絡めて食べるとき、しみじみとうまい。
食後にスープを割りいれ、つけ汁を飲むのもこれまたさっぱりする。
甘酸っぱいスープは、決して少量ではないここの麺を、あっさりと腹に入れ、それでいてもたれない。
いい素材を使い、吟味して調理をしているのだろうということが、店の人々の真剣な眼差しをみるとよくよく腑に落ちてくる。
大勝軒の系列の店は多くあり、この七福よりも嫡流に近い店もいくつかあるが、私にはここが最上に思えてくる。
それは、味もさることながら、そっけなくも暖かいサービスと、なにより大勝軒の味を守りつつ、独自色を出そうという店の気負いが心地よいのであろう。
この店は、十年近く前、餃子を作り始めた。
餃子というより小籠包のようだ。 分厚い皮の中には、だしがそのまま染みている。
噛み締めると熱と味が口にぱっと広がるところを、ビールで流すのも最高にいい。