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その者は、呼吸すら許さぬほどの威厳を漂わせながら、低く穏やかな声で告げる。
「――皆の者、楽しんでおるか?」
――オオォォオォォ〜〜!!!
祝福するように鳴り響く雄叫び。
今、この場には、幸福が満ちていた。
「今宵は己の立場やしがらみ、その他全てを忘れ、心行くまで堪能するが良い」
――ワァァァアアアァアア!!!
拍手と歓声はなかなか鳴り止まない。
《彼》はそれに対し鷹揚に頷いて、その場を後にした。
何故、このような状況になったのか。
全ての始まりは、勇者と魔王の最終決戦まで遡る。