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《Last World Online》  作者: 黒藤紫音
5章:彼の”秘密”
35/45

微笑んでいてほしい。ずっと。

久々投稿です!

放置してましたごめんなさい!!




 立ち向かっていった俺たちを迎えたのは、「ニーズヘッグ」の炎のブレスだった。

 広範囲攻撃だ。床を舐めるように炎が広がる。が、俺は元々後衛だったのでそこまで前進していない。この攻撃の範囲からは逃れられた。

 むしろ心配なのはツキノやワタルたちだ。

 視線を前に向けると、ワタルは《グレイブ》を盾代わりにして防いでいた。

 ツキノはどうやら射程範囲からぎりぎり逃れられたようだが、ブレスのせいで、奴に近づけていない。

 スズ、カノも逃れている。横から奴の身体に接近しようとしていた。

 シズの姿が見えず、思わず探してしまう。

 

「……ふっ!」


 と、前方から聞こえてきた声のほうを見ると、シズが「ニーズヘッグ」に殴りかかっていた。

 どうやらブレスが自分に届く前に、懐に潜り込んだらしい。

 確かに拳はステータスがバランス良く伸びるし、重くもないからAGIの減少率も低いが、だからと言っていくらなんでも無茶苦茶である。俺では同じことができる自信はない。ステータス的にはさほど差はないはずなんだけど。

 そんなことを考えながら、俺は両手の銃の銃口を「ニーズヘッグ」に向ける。

 俺が銃を乱射するのと同時に、ブレスを耐えきったワタルが大剣を振り上げて斬りかかる。

 ツキノもそれに倣って懐に突っ込む。スズ、カノも行った。


「はっ!」

「っやあ!」


 ワタルとツキノの斬撃が入る。

 そんな二人に「ニーズヘッグ」が尾で攻撃しようとするが、それはスズとカノに阻まれた。


「ほい、と!」

「…………っ!」


 槍で迎撃する。

 「ニーズヘッグ」の尾が弾かれた。

 首をもたげ、敵を噛み砕かんと口を開いた「ニーズヘッグ」の口内に銃弾を連射する。

 奴はダメージにのけぞった。


「《スクエア・エッジ》!」


 追撃にツキノの四連斬撃が入る。

 「ニーズヘッグ」はその巨大な胴体をくねらせ、祭壇から移動する。

 ずるずるずるずる、と生理的に不快になる音を立てて這いずっている。

 その音からは予想できないようなスピードで、俺たちを囲むように大きく動く。


「――死ね……!」


 牙を剥き出しにして、「ニーズヘッグ」は俺に突っ込んでくる。

 あの牙にはおそらく“毒効果”もあるだろうし、そうでなくともあんなもので噛みつかれたらガンナーの俺は大ダメージ必至だ。


「《ハイジャンプ》!」


 体術スキルの一つ、《ハイジャンプ》。その場で高く跳び上がって、奴の牙をかわした。

 《リロード》し、そのまま空中で上手く身体を回転させ、下にいる「ニーズヘッグ」に銃を乱射する。

 が、胴体は部位的にDEFが高いようで、HPゲージはさほど削れない。

 それでも、注意を引くには充分だ。

 攻撃をかわされた「ニーズヘッグ」が、俺の銃撃を受け、意識がこちらに向く。


「《デストロイ》!」


 ワタルの単発重斬撃が入る。

 その衝撃に、「ニーズヘッグ」の動きが一瞬止まった。

 明確な隙。


「《ルーン・フルーレ》!」

「《バッシュ・ランス》!」

「《クロス・サーキュラー》」


 ツキノ、スズ、カノの三人の攻撃が追撃する。

 俺は落下しながら、「ニーズヘッグ」の開いた口に標準を合わせ、乱射する。


「《クイック・ドロウ》!」


 胴体はDEFが高いが、流石に口内――体内は弱いようだ。

 HPゲージが先ほどと比べると気持ちよいほどに削られていく。


「《剛牙狼拳》!」


 更にシズの重攻撃。

 「ニーズヘッグ」のHPゲージは、既に五分の三まで削られていた。


「――ごああああああああああああ!!」


 俺が空中から床に着地するよりも数秒早く、「ニーズヘッグ」が咆哮した。

 その咆哮はもはや“声”でも“音”でもなく、“衝撃”だった。


「ッ!?」


 咆哮を受け、俺は体勢を崩し、着地に失敗する。

 そんな格好の機会(チャンス)を、見逃すほど甘いわけがなかった。

 「ニーズヘッグ」の巨大な尾が、背後から俺を叩いた。


「ご、ぐっ……!」


 圧倒的な衝撃。

 この身体(アバター)はデータで、どれだけダメージを受けてもリアルには何の影響もないはずだというのに、現実世界の身体の内臓や骨が軋んだ気すらした。

 吹っ飛ばされた身体が床を転がり、意識が飛びそうになる。

 そこに、声が聞こえた。


「シレンさん!」


 飛びそうになった意識を、ツキノの悲痛な声が繋ぎ止めた。

 歯を食いしばり、重い身体を動かしてすぐさま立ち上がる。


「シレン大丈夫か?」

「問題、ない……!」

「割と問題あるように聞こえるが?」

「やかましい!」


 もうあんなヘマはしない。

 もう二度と、ツキノにあんな悲しそうな声を出させてたまるか。


「さっさと倒すぞ」

「はいよ」

「言われなくても」


 俺は《クロスイーグル》と《ブルーマグナム》を改めて構え直す。

 ワタルは《グレイブ》を、シズは《メタル・ブレイカー》を構えた。


「っし!」

「はっ!」


 ワタルとシズが突撃する。

 それをサポートしつつ、俺も前に出た。

 後ろで、ツキノたちが武器を構え直す音がした。



 ドン、と重い音がする。

 ワタルの重攻撃がヒットした音だ。


「で、どこを狙うんだお前は?」

「口内。胴体を狙うよりはダメージは通る」


 ワタルが気を引いている間に、シズと言葉を交わす。

 銃はどうしてもATKが低い。たとえ十発胴体に叩きこんでも、剣なら一撃二撃で同程度のダメージを与えられるだろう。

 なら、TECを活かすべきだ。

 胴体と比べると口内は小さく、剣や拳では攻撃は当てづらい。

 けれど銃のTECなら、そんな小さな箇所にも攻撃を命中させられる。


「《フル・バースト》ぶち込んでやる」

「なら俺は隙を作ろう。ワタルがメイン、俺は隙、お前が集中。行くぞ」

「オーケー!」


 俺が頷くと、シズも「ニーズヘッグ」の懐に突っ込んでいく。

 《リロード》し、銃弾を放ちつつ、奴の口が開くのを待つ。

 その俺の横を、スズとカノが通って行った。


「シレンさん」

「ツキノ」


 ツキノも俺の脇を通り過ぎる。

 その一瞬に、彼女の碧眼と、俺の黒目が交差する。

 ――――大丈夫ですか?

 ――――平気だよ。

 ほんの一瞬合っただけ、けれど、それで充分だった。

 ツキノはほんの少しだけ微笑んだ。

 …………やっぱり、ツキノには辛い表情も悲しい声も似合わない。

 微笑んでいてほしい。ずっと。


「ごが……!」


 「ニーズヘッグ」がひるんだ。

 口も開いている。


「《クイック・ドロウ》!」


 銃を連射する。

 面白いほどにヒットしていた。

 そして。


「《デストロイ》!」

「《王破拳》!」

「《クロス・サーキュラー》」

「《バッシュ・ランス》!」

「《ルーン・フルーレ》!」


 全員の上位スキルが連続ヒットする。

 HPゲージはもう五分の一程度だった。


「おおおおおお!!」


 声がうるさい。

 口はまだ開いている。


「ちょっと黙れ」


 《リロード》し、左右の銃を構える。

 狙いは、口内。


「《ツイン・フル・バースト》」


 両手の銃で《フル・バースト》を放つ。

 全銃弾の威力を込めた二つの弾丸は、吸い込まれるように「ニーズヘッグ」の口に叩きこまれた。


「ご、お……!」


 クリティカルヒットし、大きく仰け反る。

 ダメージによる硬直は数秒。

 けれどそれだけあれば、もう充分だ。


「もう一発! 《デストロイ》!」

「《王破拳》!」

「《ルーン・フルーレ》!」


 アタッカー三人の上位スキルが炸裂する。

 「ニーズヘッグ」のHPゲージが0になった。


難産……

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