戦闘開始(バトルスタート)
一ヶ月以上ぶりの更新ですぅぅ!
自分で自分が情けない!
しかも話ほとんど進んでないし!
先頭はワタル、その半歩後ろを歩いているのがシズ。後方はズズとカノ。俺とツキノは、ちょうどパーティの中間を歩いていた。
俺とツキノのペアから、また6人のパーティに戻ったので、POPするMobの数はパーティ基準に戻った。
とはいえ、最初に言った通り、俺たちのレベルなら数が増えてもさほど問題じゃない。
「カノ、まだかかるか?」
「…………おそらく、もう少しだとは思う」
俺がそう訊くと、カノはマップを表示しながらそう答えた。
RPGではほぼ当たり前のことだが、いつぞやの「ビッグ・マッド・ドール」の時のように、ダンジョンのボスというのは、最奥の部屋にいるものだ。
おそらく、既にダンジョンの四分の三以上は踏破しているだろうし、カノの言う通り、本当にもう少しだろう。
「このクエストクリアしたら、簡単に祝いでもやるか。シレンの祝新武器獲得も兼ねて」
「お前、単に騒ぎたいだけだろ」
「悪いかよ」
「別にいいけどな」
ワタルの言葉に苦笑しながらそう答えると、隣でツキノがくすくすと笑っていた。
そんな彼女の姿を見て、ふ、と微笑が漏れた。
そして、突然後ろから何やら黒いオーラが漂ってきた。
後ろを見る。スズがいた。
「シレン……」
「なんでそんな恐ろしい顔になってんだ。カノ宥めてくれ」
「…………落ち着け、スズ」
「……終わったらシレンコロス」
トーンがマジなんだけど。仮想現実なのに背筋が寒くなったんだけど。
聞こえなかったことにして前を向く。
「何やってるんだか……」
「シズ、わかってるなら助けろよ」
先頭を歩くシズにそう言うが、シズは肩をすくめただけだった。それだけで何が言いたいのかわかる。
意訳すると「スズの相手は面倒だからごめんこうむる」というところだろう。いや、わかるけどふざけんな。
俺が文句でも言おうと口を開くより先に、ワタルの足が止まった。
つられてシズも止まり、そのまま後ろの俺たち皆の足が止まる。
「あったぜ」
そうワタルが指差したのは、通路の奥に悠然と鎮座している、巨大な二枚扉だった。
○
その二枚扉には、怪物のレリーフがびっしりと刻まれていて、見る者を圧倒する何かを放っていた。
この世界は仮想現実で、すべてはただのデータのはずなのに、だ。
「この奥、か」
「「ニーズヘッグ」だっけか。どんなモンスターなんだっけ?」
ワタルの言葉に、俺も眉根を寄せて考えた。
確か、何かの神話で出てくるモンスターだったはずだけど……なんだっけか。頭の出来があまりよくないのでわからない。
そんな俺たちの疑問に答えたのは、ツキノだった。
「北欧神話に登場する蛇です。“怒りに燃えて蹲る者”の意で、フヴェルゲルミルの泉に多くの蛇と棲んでいます。この蛇はラグナロクも生き延びるんですよ」
すらすらと言い淀むことなく出てくる言葉に、一瞬呆気に取られる。
ツキノ、天然っぽいけど、頭は良いみたいだ。
「……えーと、北欧神話っていうのは、オーディンとかが出てくる神話のことでいいんだよね?」
「ちょっと待って。アンタそこから?」
後ろからスズの呆れたような声が聞こえてくる。
ほっとけ、どうせ頭悪いわ!
ツキノはにこにこと笑いながら、俺に解説してくれる。
「はい。最高神であるオーディンや、トリックスターのロキが有名ですね。ラグナロクというのは、北欧神話における世界の終末の日のことで、これによってほとんどの北欧の神々は死んでしまうんです」
「ラグナロクくらいは聞いたことあるよ、色んなゲームの題材になってるし」
聞いたことがあるだけで、内容は伴ってないけども。
まあそれはさておき……、というか、変につっこまれてボロが出る前に話を変える。
「さて、行こうか。ワタルとシズが前衛、ツキノ、スズ、カノが中衛、俺が後衛で」
「わかりました」
「了解」
「ああ」
「…………わかった」
「行きますか」
全員が頷いたのを見て、俺は巨大扉に手をかける。
扉はその重そうな見た目からは想像できないほどたやすく開いていく。
皆が見つめる中、動き始めた扉は、ずしんという衝撃とともに止まり、完全に開いた。
そして現れた部屋の内部は、うす暗かったが、かろうじて広さはわかった。
かなり広く、高校のグラウンドくらいはありそうだった。
俺たちは止まっていた足を動かし、部屋に入る。そして全員が入った途端、開いていた扉は閉まった。
だが、俺たちは後ろを見る暇もなかった。
扉が閉まるのと同時に、うす暗かった部屋に明かりが灯る。
明かりが灯ったことで、この部屋の主の姿が、俺たちの眼前に現れた。
「……何者だ……」
雄々しい声が、俺たちの耳に飛び込む。
そこには、巨大なMobがいた。
ツキノは蛇と言っていたが、こいつは――――
「……竜だな」
ぽつり、とそう呟いた。
元ネタの北欧神話では蛇だからか、その長い胴体には足がない。だが、頭部には角が生えていて、口には牙がびっしりと生えている。これを蛇というのは苦しいだろう。
「……我が命を狩りに来た愚者か。いいだろう……」
そう言って、奴は頭部を持ち上げ、一度に牛を数頭丸呑みできそうな口で、吠えた。
「……来い!」
奴が吠えただけで、空気が震える。
そして奴が吠えたのと同時に、カーソルとHPバーが表示される。
カーソルに表示されている文字は「ニーズヘッグ」だった。
「――行くぞ!」
俺がそう宣言すると、皆がそれぞれの武器を構える音が聞こえた。
そして、一気に「ニーズヘッグ」に向かって走る。
――――戦闘、開始!
Solveばっかりで手つかずでした…。
次は戦闘描写入る予定です。
この章は残り二話予定ですが、どうだろ。
なるべく定期更新できるように頑張ります。




