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《Last World Online》  作者: 黒藤紫音
番外章
24/45

”女の子”

番外…というか、軽い補足?

5話の、カフェからワープクリスタルまでの合間の話です。

今回も短いです。


 (……妙な話だよなぁ)

 ついさっきまで、顔も名前も知らなかった女の子と、クエストに行くことになるなんて。

 ツキノは俺を知っているようだったけど(誠に不本意ながら、「光聖騎士団」では俺のことは有名なんだろう。主に悪名で)、俺は知らないし。

 少なくとも、あんな可愛い子を(たとえ作り物なのかもしれなくとも)忘れるなんてことはないと思う。

 金のロングヘア、それも腰まであるストレート。そして碧眼。ギルドの制服の上からでもわかる、スタイルの良さ。リアルは外国人なのかもしれない。向こうは発育いいらしいし(ワタルからの要らない情報)。

 いや、でもこの小動物的な雰囲気はあちらの国のイメージとは結びつかない。

 (……まあ、いいか)

 そんなに深く考えることじゃないだろう。アバターなんだし。というか、リアルの詮索はマナー違反だ。


「あ、あの、シレンさん」

「ん?」

 

 呼ばれて振り向くと、隣を歩いていたはずのツキノは、俺より数歩後ろにいた。


「……あれ、どうかした?」

「は、速いです。あの、できればもう少しゆっくり歩いていただけませんか?」


 駆け足で隣に並んだ彼女がそう言う。

 そんな彼女の姿を見下ろして思う。

 (…小さい)

 女の子なんだから、当たり前と言えば当たり前だけれど。

 けれど、明らかにスズとは違う。

 あいつも身長はそんなに高くないけど(スズ曰く同年代の女子の平均身長らしいが)、でも、ツキノとは何か違う。

 別に、ツキノがか弱そうとか、そんな風に思っているわけじゃないけど。

 なんというか、小さい。

 (……女の子、か)

 ああ、そうだ。この子は“女の子”なんだと、遅れて自覚した。

 一番身近な女性がなんとも逞しいスズなので、忘れてしまっていた。

 小さいと感じるのも当たり前だ、だってこの子は、“女の子”なのだから。


「ごめん、もう少し遅くする」

「はい。……あの、ごめんなさい。私が無理を言って付き合ってもらっている立場なのに」

「いや、気にしなくていいよ。俺が鈍いだけだ。男と女なんだから、歩幅違うよな」


 そんな当たり前のことにも気付けなかった。

 どれだけ鈍いんだ、と思う。

 これがワタルなら、普通に気付いて歩幅を合わせただろうし、カノはあのスズを女の子扱いする奴だし、意識する必要すら無いだろう。シズだって無言で歩幅を合わせるはずだ。

ホント、鈍い。これもソロの弊害だろうか……、っていやいや。


「とにかく、ゆっくり行こう。これくらいでいいか?」

「あ、はい。ありがとうございます」


 彼女の歩幅に合わせて、ゆっくりと歩く。

 意識して歩かないと、ついいつもの歩幅で歩いてしまいそうになる。 

 気をつけないといけない。

 (……たぶん、少しの間だけだろうけど)

 けど、せめて、それまでは、ちゃんとエスコートしないとな。



 この時の俺は、ツキノと長い付き合いになるとは、思ってもいなかった。




もう何話か続きます。あと何話続くかは俺も知りません。

書きたいのを書き終わったら、5章に入る予定です。

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