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《Last World Online》  作者: 黒藤紫音
4章:仲間・シズ
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とっておきの

 さて、店員の女性の口車に乗せられ、まんまとアクセサリーを買わされた俺は、立ち上がって、ツキノを探していた。

 といっても、あの子は(良い意味で)目立つから、すぐに見つかるとは思うけど。

 なんて考えている間に、見慣れた金髪を見つけた。

 そこに向かって、歩を進める。

 

「ツキノ」

「あ、シレンさん」


 ツキノは屈んで、店先に並べられた商品を見ていた。

 装飾品が並んでいた。

 装飾品と言っても、さっき俺が買ったようなアクセサリーとは違い、立派な装備品で、装備すると色んな効果が出る。


「興味あるのか?」

「はい。剣も替えましたし、他の装備も見直そうかなって」


 なるほど。

 武器が変わると、他の装備とかも色々調整いるからな。そのままでも良かったりするけど。

 なんて考えていると、ツキノに店主が声をかけた。


「お嬢ちゃん、こいつらに興味があるのかい?」

「はい」

「そうか……じゃあとびっきりのを見せたいところだけど、なぁ……」


 歯切れの悪い台詞だ。

 どうかしたのか、と俯いている中年の店主を見る。


「どうかしたんですか?」


 ツキノがそう訊くと、店主は俯いていた顔を上げた。


「……お嬢ちゃん、「光聖騎士団」かい?」

「はい、そうですけど、何か?」

「ちょっと、頼みがあるんだが、いいかい?」

「なんでしょう?」


 「光聖騎士団」は信頼抜群だなぁ、と思った。

 まあ、一般プレイヤーたちが楽しめるよう、規律を持って行動する彼らは、確かに信頼できる集団か。


「ある素材を取ってきてほしいんだ。それがあれば、とっておきのを作れるんだけどなぁ」

「どんな素材ですか?」


 店主は一息溜めて、口を開いた。


「「イビル・バイコーンの両角」さ」


 店主のその言葉に、俺は両目を剥いた。


「ちょっと待て。「イビル・バイコーン」ってあれか。あの速い奴」


 俺が驚愕を隠せずにそう言うと、店主の方を見ていたツキノがこっちを向いた。


「シレンさん、知ってるんですか?」

「中堅レベルのモンスターだけど、上級でもソロやクラスによっては手間取る、面倒なモンスター」


 あくまで手間取るだけだ。決して倒せないわけじゃない。

 まあだからといって、何度も戦いたいと思う相手でもないけど。

 二角獣(バイコーン)の名の通り、二本の角が生えた馬型モンスター。

 馬だからか、スピードが速い。そのため、こちらの攻撃は避けられる、そしてこちらが防御に回った時は、そのスピードと御立派な角で攻撃してくる。その攻撃がまた強い。


銃士(ガンナー)の俺でも、時間かければソロで倒せるかもしれないけど…あんまり相手したくないなぁ」

「シレンさんのレベルでもですか?」

「レベル云々よりは、相性の問題だしな。剣士(フェンサー)なら相手しやすいだろうけど、な……」


 俺がそう言うと、ツキノは俺から、また店主のほうを見た。


「その素材、取ってくればいいんですね?」

「ああ。……でもいいのかい?そこのお兄さんの言うとおり、厄介な相手だよ?」

「大丈夫です」


 とん、と胸を叩いて、彼女は言った。


「任せてください。その代わり、取ってきたら、そのとっておきの品物、見せてくださいね」

「取ってきてくれるのなら、見せるどころか、差し上げるよ」


 太っ腹な店主だな、と少し場違いなことを考えた。


「場所は、森フィールドの奥ですね」


 出現エリアを確認すると、ツキノは立ち上がって、俺を見た。


「シレンさん、手伝ってくれませんか?」

「いや、手伝うのは全然いいけどな」


 言いながら、俺はウインドウを開く。


「さっき言った通り、ちょっと面倒な相手だ。剣士(フェンサー)銃士(ガンナー)だしな」


 だから、と俺は続ける。


「攻撃を受けてくれる壁が要る。……心辺りあるから、ちょっと待ってて」


 俺がそう言うと、ツキノは何かに気付いたのか、あ、と言う声を上げた。


「以前言っていた、仲間の一人ですね?」

「ああ。あいつがいると戦線がだいぶ安定するから」


 自信を持って、そう言う。

 あいつがいると、本当に心強い。

 俺はウインドウからアドレスを呼び出し、入力したメッセージを飛ばした。



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