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《Last World Online》  作者: 黒藤紫音
4章:仲間・シズ
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出店街

 先日行ったハシバ鍛冶店のように、すべて商人プレイヤーが店を持っているわけではない。

 では、店を持てない商人プレイヤーたちは、どうやってそのための資金を稼ぐのか。

 その答えの一つが、ここにある。


「……相変わらず、猥雑と言うか、なんと言うか……」

「……ですね」

 

 出店街。

 ティアシティの裏通り――――というと、少々不穏な響きがあるが、まあそんなところである。

 表通りから脇道に入り、そこに入ると、出迎えるのは何とも言えない喧騒だ。

 表通りも表通りで喧騒といえば喧騒なのだが、それとは少々種類が違う。

 まあとにかく。

 この出店街には、色んな店がある。

 もちろん、正式な店ではない。リアルでもたまに、ストリートで店を出しているような人がいるが、それと同じようなものだと考えてくれればいい。

 路上にブルーシートというか、布を敷いて、木の箱や板の上に商品を並べている。

 それは武器だったり、防具だったり、装飾品だったり、素材、回復、逃走用アイテムなど多岐に渡る。


「それじゃ、回復その他アイテムの補充のついでに、色々見て回ろうか」

「はい」


 そう言って、俺とツキノは歩き出した。

 あまり長く立ち止まっているのも、ここではマナー違反である。

 ここは、商人プレイヤーたちが成功しようと、鎬を削っている場である。

 なので、商人たちはあの手この手で客の気を引こうと必死だ。

 そんな中、何も買いもしないのにただ立ち止まっているというのは、店側からしたら大迷惑である。

 そういうわけで、俺とツキノは出店街の中を歩く。


「お、回復アイテム発見。売ってくれ」

「はいはい。いくつ?」

「10」


 目についた回復アイテムを買う。

 とりあえず、10個も買っておけば当面問題ないだろう。


「このアイテム5つください」

「はいよ」


 ツキノも、別のアイテムを買っていた。

 そうして買ったアイテムをストレージに放り込みながら歩く。

 アイテムを買って、ストレージに放り込むのを何度か繰り返しているうちに、アイテムは充分補充できた。


「こんなもん、かな。ツキノは?」

「はい。私も補充、終わりました」


 さて、アイテムの補充が終わったら、今度は装備品である。

 別に今すぐ買い替えないといけないわけではないが(そもそも俺の装備はこんな中級街で手に入る物より上等である)、それでも面白そうな装備品は買っておきたい。

 NPCショップで売っている既製品と違い、こういったプレイヤーが売っている商品の中には、プレイヤーが作成した装備品が売っていたりする。たまにその効果やらデザインやらが吹っ飛んでいたりするので面白い。


「シレンさん、あれ見てください」

「え? うわ、すごいな」


 ツキノが指差したほうを向くと、なんとも厳つい剣があった。ぶっちゃけ趣味悪い。誰が買うんだあんなの。

 他にもまあ、色んな装備品があった。

 見ていて、なんとも面白い。


「あ、ツキノ。あれもすごいぞ」

「わあ」


 俺がその方向を指差すと、ツキノはその店に向かって走っていった。

 くす、と微笑して、後を追おうとした俺に、声がかけられた。


「お兄さん、お兄さん」

「ん?」


 声がかけられた方向を見ると、女性の商人が座っていた。

 店先には、いくつかの装備品――――というよりは、アクセサリーが並んでいた。


「何か?」

「いえいえ。お連れさん、可愛いね。彼女さん? デート?」


 お連れさんというのはツキノのことだろうか。


「彼女って…違う! デートでもない!」

「違うのかい? まあ、どっちでもいいさ。それより…」


 ちょいちょい、と手招きされる。

 手招きされるまま近づくと、女性は言った。


「どうだい、一つアクセサリーでも。あの子に」

「アクセサリーって……」

「まあまあ。とにかく見ていってよ」


 言われて、思わず店先に並べられたアクセサリーを見る。

 指輪、髪飾り、ネックレス…いやペンダントか?

 とにかく色々あった。


「どう?」

「どう、って言われてもなぁ……」


 じっと見て回っていると、あ、と思った物があった。


「これいいな」

「お、お目が高いね。あの子にも似合うんじゃない?」

「……だといいけどな」

「で、買う?」


 俺は手の中にあるそれを見て、少し悩んだ。

 が、結局俺は首を縦に振り、結果として、少々財布が軽くなった。



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