やっぱり可愛いな
ワープクリスタルは、各街を中心として広がっている各フィールドのクリスタルがある地点へ飛ばす施設だ。
別に各フィールドには、ワープでしか辿りつけないというわけではない。門から外に出て、徒歩でも辿りつけはする。
ただ当然、そのフィールドにはモンスターがうろついている。
単にレベル上げをするためなら徒歩で目的地へ向かうのもありだが、クエストなどのためにフィールドに行く必要があるのなら、そんなモンスターとの戦闘は面倒極まりない。
そういう事情もあって、クエストなどでどこかのフィールドに行くのなら、たいていの奴はワープクリスタルを使う。
が、俺たちの今回の目的は、単に新武器の試しである。
なら、近場で済ませてしまえばいい。
そういうわけで、街から出た俺たちは、平原フィールドで、都合良くうろついていたモンスターに狙いを定めた。
「さて、行きますか」
「おう」
アイテムストレージから各々武器を引っ張り出した。
ツキノの《ホワイトカメリア》の白い刃が光を放つ。
「……行きます!」
ツキノが、うろついていたモンスター「ヘヴィ・ボア」へ向かって駆け出した。
ワタルも、同じ剣士として、彼女の支援をしようと、同じように駆け出した。
「っふ!」
「は!」
ツキノが「ヘヴィ・ボア」に斬りかかり、ワタルは逆サイドから斬りかかった。
ワタルの武器は、ツキノとは違い、一撃の重さに特化したグレートソード。
スピードを犠牲にして、決定的な一撃を叩き込む。
もっとも、同ランクの斧のほうが威力は高いが。
それはともかく。
「ぷぎぃ!」
「ヘヴィ・ボア」が攻撃されて鳴き声をあげる。
迎撃態勢に入るが、二人は既に距離を取っている。
正直な話、俺は必要ない気がするが、何もしないわけにもいかないので、攻撃する。
銃を構え、《クイック・ドロウ》を発動する。
三発連続で発射された銃弾は、すべてヒットした。
「ぶぎる!」
そして、「ヘヴィ・ボア」は俺に狙いを定めたらしい。
猛突進してくる。まさに猪突猛進。
……って言ってる場合じゃない。
「あぶね!」
その場を右に跳んで回避する。
お返しとばかりに、銃のトリガーを引く。二発ぶち込んだ。
そして、影が二つ走る。ツキノとワタルだ。
「《ヘヴィ・ブレイド》!」
ワタルの重い一撃が叩き込まれた。
そしてひるんだ「ヘヴィ・ボア」に、ツキノが剣の連撃、《ブレイド・ラッシュ》を叩き込む。
俺も忘れずに攻撃する。
「《ツイン・バレット》」
銃弾が身体に叩き込まれ、「ヘヴィ・ボア」のHPが0になる。
パン、と破裂音がした。
「よし!」
ぐ、とワタルが手を握りしめた。
「ヘヴィ・ボア」は中堅のモンスターだ。ツキノ一人ならそれなりに手間取るかもしれないが、俺とワタルは上級プレイヤーのレベルだ。さして苦でもない。
「どうだ、使い心地は?」
俺はツキノにそう声をかけた。
ツキノは、剣を少し眺めると、腰の鞘に仕舞った。
「いい感じです。かなり楽に使えます」
「そうか、それは良かった。もっと試すか?」
「はい、是非」
にこ、と笑ってツキノはそう言った。
その笑顔を見て、あ、やっぱり可愛いな、この子。
なんて場違いなことを思った。




