プロローグ
手に持っている、黒い鉄の塊。銃だ。
その重みを感じながら、俺は構える。
そして、トリガーを引いた。
ドン!
撃ち出された弾丸は、一直線に、敵である狼型モンスター「バッド・ウルフ」に向かう。
だが、「バッド・ウルフ」は、それをひらりとかわして、こちらに向かってくる。
けど、かわされるのは、元々織り込み済みだ。
一歩バックステップを取り、「バッド・ウルフ」に向かってトリガーを連続で引く。
《クイック・ドロウ》。
同時に数発の弾丸を連射するスキルだ。
それらはすべて「バッド・ウルフ」に当たり、奴はその場でたたらを踏み、HPを表すゲージが大きく削られる。
四分の三まであったゲージが、四分の一まで減った。
「《リロード》」
その隙を逃さず、俺は弾丸を補充する。
そしてそれが済んだ瞬間、奴に銃を構える。
未だダメージの硬直が解けない「バッド・ウルフ」に、勝利を確信し、とどめのスキル名を口にする。
「《ツイン・バレット》」
一瞬のチャージの後、二発分の威力を持った一発の弾丸が、「バッド・ウルフ」に迫る。
硬直も解け、回避しようと動くが――――、一瞬遅い。
「ガウッ!」
弾丸を避けられず、直撃した。同時に、『クリティカルヒット』の表示も現れる。
そして、HPは、一気に0になった。
一瞬の間の後、パン、と弾けるような音をたて、「バッド・ウルフ」は砕け散る。
チャラララ、と戦闘終了を告げるSEが鳴り、EXPとオル、ドロップアイテムが書かれているウインドウが表示される。
……こんなもんか。
E XPもオルも、ドロップアイテムも、今の俺からすると低すぎた。
まあ、この辺りはもう、今のレベルじゃ物足りないか。
とりあえず、ドロップアイテムをアイテムストレージに放り込んだ。
そして、俺は踵を返し、草原フィールドから、街エリアへと、足を向けた。
この世界の名は、《Last World Online》。
俺たちは、この世界を駆け巡る。
流行り(?)のVRMMORPGを書いてみました。
設定とかどっかで聞いたことあるなぁ…って思っても、スルーしていただけると幸いです…