灯火の余白
灯りがひとつ消えるたび、私たちは本当の孤独に近づいていく。
互いの傷に触れないように重 regionalねた「余白」は、優しさではなく、過去の影から目を背けるための言い訳に過ぎませんでした。届かない誰かを想うあなたと、そんなあなたを愛しながら別の温もりを夢見るわたし。
静かな夜の暗がりに沈む、二人の歪で切ない恋の記録です。どうぞ、この揺れる灯火の終わりまでお付き合いください。
灯火の余白
街の灯りがひとつずつ消えていく時刻
あなたの部屋の明かりだけが
わたしの世界をかすかに照らしていた
すべてを知りたいわけじゃない
知れば知るほど近づく終わりが怖くて
あえてつくったふたりの隙間
触れ合わないその余白にこそ
愛があるのだと信じていた
「またね」と囁くあなたの声に
寂しさを隠して頷く夜
孤独を抱えているからこそ
わたしたちは求め合えるのだと
自分に言い聞かせては胸を撫でおろす
けれど、本当は知っている
この胸を焦がす冷たい余白は
ふたりの愛の深さなどではなく
あなたの心に居座り続ける
あの人の影がつくった傷跡なのだと
灯火が揺れて影を伸ばす
わたしは今夜もその暗がりに隠れて
あなたじゃない誰かの温もりを待っている
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
互いに本当の想いを隠したまま重なり合う、二人だけの少し歪な時間をお届けできていれば幸いです。
静かに消えていく灯火の余韻が、皆さまの心に少しでも残りますように。また次の物語でお会いできることを楽しみにしています。




