選ばれたはずの「小さな町の中学一年生」
【作者から】
僕が中2くらいの時にアニメにどっぷりハマってたんですよね。
その頃にこういうアニメを探していました。
「クラスメイトたちが異世界で冒険するようなアニメってないのかな〜。」
と思い探してみたんですがなかなかしっくりくるアニメがなかったんです。
その時、「...理想なアニメがないなら、自分で物語を作ればいいんだ!」というとんでもないアイデアが浮かんだんです。
そこから僕は小説家になることを夢に見て物語を制作していきました。
物語にはとても自信があるので見ていってもらえると嬉しいです。
2022年4月8日。北海道のとある場所に位置する小さな町、露星町は、春の冷たい空気に包まれていた。しかし、この日ばかりは、町に一つしかない中学校、露星町立露星中央中学校の入学式があった。
校門をくぐると、ごく一般的な公立中学校のたたずまいだ。古びた校舎は、だが、生徒玄関前は一変して、華やかな雰囲気に包まれていた。色とりどりの風船と、手書きの温かい歓迎メッセージが書かれた大きなポスターが所狭しと貼られ、新入生を迎える喜びを表現している。
今年も例年通り、体育館で厳粛に入学式が執り行われた。真新しい制服に身を包んだ新入生たちが、緊張した面持ちでパイプ椅子に座っている。校長先生の式辞、在校生代表の歓迎の言葉が続く中、いよいよ新入生の名前が一人ひとり呼ばれる「呼名」の時間がやってきた。
しかし、そこに集まった新入生たちは、どうにも普通ではなかった。
彼らは合計32人。露星町という小さなコミュニティで生まれ育った彼らは、まるで選ばれたエリート集団のようだった。皆、小学生の頃から頭脳明晰で、地域の模試では常に高得点を叩き出し、運動会では驚異的な身体能力を見せつけてきた。そして何より、彼らの平均身長は、どう考えても常識を逸脱して高かった。中学一年生としてはあまりにも大人びたその姿に、列席した保護者や先生たちの間では、「本当に彼らは12歳なのか?」と、毎年ひそかに疑惑が囁かれるほどだった。彼らは、この小さな町において、あまりにも秀逸な存在感を放つ、特別な集団だったのである。
彼ら32人は、そのまま1年A組に配属されることになった。
担任の先生は、出席簿を手に取り、少し震える声で、しかしはっきりとした口調で、出席番号順に名前を読み上げ始めた。
「では、出席番号順に、名前を呼んでいきます。五十音順で、1番から…」
1. 青坂 健介
2. 秋原 真
3. 阿良之 詩音
4. 楓翼 涼夜
5. 陰平 亜月
6. カタリナ・榛奈・エストレージャ・ラミレス(かたりな・はるな・えすとれーじゃ・らみれす)
7. 如月 心雪
8. 九条 三晴
9.木枯 咲菜
10. 牙 燐乃
11. 沙原 叶哉
12. 鈴森 慧
13. 東雲 星也
14. 誰時 司
15. 椿 賀奈芽
16. 月 唯恵
17. 富喜 優河
18. 中野 穂乃華
19. 菜羽田 えみ(なはた えみ)
20. 凪乃 朱木
21. 姫宮 紡
22. 扶情 隼
23. 本空 楠
24. 松城 瑰疾
25. 魅羽月 瑠樹
26. 京凛 雫
27. 村崎 那緒
28. 諸星 大歩
29. 八尋 のの(やひろ のの)
30. 山灘 翼
31. 宵闇 七華
32. 夜縹 八蓮
個性豊かな32人の名前が呼ばれるたび、教室には小さな返事が響く。彼らは、この露星町という小さな世界で、幼稚園、小学校と、ずっと一緒に育ってきた仲間だ。32人全員が、お互いのことを知り尽くし、まるで一つの大きな家族のように仲が良い。その絆の強さは、都会の学校では決して見られない、この町特有の財産だった。
無事に入学式が終わり、新入生たちは1年A組の教室へと集まった。ここからは、担任の先生による初めてのホームルーム、そしてこの中学校での生活についての説明が始まる。生徒たちは、期待とわずかな不安を胸に、先生の言葉を待った。
担任の先生は、教卓の前に立ち、深呼吸を一つ。その表情は、先ほどの呼名の時よりも、少しだけ和らいでいた。
「新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます! そして、保護者の皆様、本日はお子様のご入学、重ねてお慶び申し上げます。お忙しい中、また緊張感の中、入学式にご参加いただき、誠にありがとうございました。」
先生の言葉は、体育館での形式的な挨拶とは違い、どこか親しみやすさを感じさせた。
「改めて、ご挨拶とこの1年の説明をさせていただきます。わたくし、この1年A組の担任を務めます、【花道 一星】と申します!」
花道先生は、少し照れたように笑い、黒板に自分の名前を書き記した。その文字は、力強く、それでいてどこか温かみがあった。
「趣味は、生徒たちと触れ合うこと。カラオケ。音楽鑑賞などなどです!特に、生徒の皆さんが楽しそうにしているのを見るのが、何よりのエネルギー源です!」
そう言って、先生は生徒たち一人ひとりの顔を、ゆっくりと見渡した。その眼差しは、まるで宝石を鑑定するかのように真剣で、それでいて優しい。
先生の言葉には、お世辞ではない、心からの期待が込められていた。生徒たちは、その熱意に少し気恥ずかしさを感じながらも、背筋を伸ばした。
花道先生
「さて、改めて皆さん、よろしくね!先生の挨拶はこれで終わりだけど、まだわたしは皆さんのことをよく知らない。そこで、自己紹介コーナーに入ります!皆さんの個性を知る、最初のステップだと思って、気楽に話してほしいな。では、出席番号1番の青坂くんからお願いします!名前と趣味と、最後にこの中学校生活への意気込みを一言、聞かせてください!」
突然の指名に、青坂健介は思わず「えっ」と声を漏らした。
青坂 健介
「えー!俺が最初かよー(笑)。いきなりトップバッターは緊張するなー。」
健介はそう言いながらも、顔はどこか楽しそうだ。彼の周りの席からは、幼馴染たちからの小声の応援が飛ぶ。
「健介、頑張れー!」「いつもの調子でいいぞ!」
健介は立ち上がり、少し照れくさそうに頭をかいた。
青坂 健介
「えと…名前は青坂健介です!趣味は、体を動かすことが好きなので野球と、あとは最近の流行りの曲を聴くことです。中学に入っても、このメンバーと、そして新しい友達とも、変わらずみんなと仲良くしていきたいです。よろしくお願いします!」
健介らしい、明るくストレートな自己紹介に、花道先生は満足そうに頷いた。
花道先生
「はい!青坂くん、ありがとう!最初にしてはとてもよかったです!野球と音楽、いいね!じゃあ、次は出席番号2番、秋原くんよろしくお願いします...」
こうして、32人の個性豊かな自己紹介が、和やかな雰囲気の中で続いていった。中には、カタリナ・榛奈・エストレージャ・ラミレスのように、長い名前を噛まずに言い切って拍手を浴びる生徒もいれば、九条三晴のように、少しはにかみながらも将来の夢を熱く語る生徒もいた。
そして、いよいよ最後の生徒の番が回ってきた。
花道先生
「それでは、最後に、出席番号32番の夜縹くんお願いします!」
夜縹八蓮は、教室の窓際、一番後ろの席から、ゆっくりと立ち上がった。彼の瞳は、どこか遠くを見つめているような、不思議な光を宿していた。
夜縹 八蓮
「はい。僕の名前は夜縹八蓮です。趣味は、青坂くんと同じく音楽を聴くことと、あとは特に目的もなく散歩することです。このA組は、僕たち32人にとって、最高の居場所です。このまま、仲の良い最高のクラスを築き上げていきましょう! よろしくお願いします。」
夜縹の言葉は、短くも力強く、32人の絆を再確認させるものだった。
花道先生
「ありがとうございます!これで全員終わりましたね。みなさん、とても個性が強く、それでいてお互いをよく知っている。先生は、この1年A組が、とても楽しいクラスになると、今からワクワクします!」
そして無事入学式が終わり、それぞれ仲の良いグループで下校することに...
「しかし、花道先生、いい先生だったな!」「ああ、ちょっと緊張してたけど、生徒思いなのが伝わってきたよ。」「これで、中学生活も安泰だな。」
そんな他愛もない会話が、春の夕暮れの空気に溶けていく。露星町の風景は、どこまでも穏やかで、平和そのものだった。
その時だった。
楽しく会話しながら下校している彼らの耳に、まるで幻聴のような、しかし確かに存在する囁き声が届いた。
「……君たちは、この声が聴こえているかな?……お願い……すぐそこにある森の中の古びた教会へと、行ってみてほしいの……お願い……」
それは、か細く、今にも消え入りそうな、少女らしき声だった。声は、彼らの頭の中に直接響いているようで、周囲の音とは明らかに異質だった。
「おい、今、何か聞こえなかったか?」「ああ、聞こえた。誰かの声だ……」「森の中、だって?」
そして彼らは興味本位で森の中へと行くことに。
なんと森の中には、他のグループも来ていた。
「やっぱり、みんなにも聞こえてたんだ……」
誰かが呟いた。あの声は、彼ら1年A組の生徒全員に届いていたのだろう。
生徒たちは、不安と好奇心が入り混じった表情で、自然と一つの大きな集団になった。皆、この異様な状況に少し怯えながらも、この町の常識では考えられない出来事に、抗いがたい興味を抱いていた。
「...とりあえず前へ進んでみよう。」
この森は普段は立ち寄れないとても不気味な森。皆は恐れていながら前へ進むことに。
だがここは随分と前に閉鎖されていた。言うと、廃墟だ。
だが皆は勇気を出して古びたとても大きい教会の中に入った。
「懐かしいぜ。小学生以来だなー入ったの。」
「...埃がすごいわ...」
「もうここもボロボロだなぁ...」
ここは相変わらず瓦礫も崩れており、外から見るともう撤去寸前な教会だった。
数分歩いただろうか。突然、一番前にある教壇から広大な光が彼らに向けて一斉に放った。
「なんだ!?」
「眩しい!」
生徒たちは、次々とその場に膝をつき、そして、まるで糸が切れたかのように、皆その場で倒れ込んでしまった。32人の秀逸な新入生たちは、入学初日の夕暮れ、露星町の森の中で、意識を失った。
「いたた...何が起こったんだ、、、ここは!?」
次々と彼らは目を覚ましこう言う。
「ここは...どこ...」
目を覚ますとそこは、先ほどいた教会の中。
だが、あの廃墟のような空気感ではない。
ステンドグラスの七色の光と、舞い散る桜の花びら。
埃も舞ってなく、ボロボロだった壁も白く綺麗にコーティングされている。
まるで新しく建てられたかのような感じだった。
「...あれ?ここはさっきいた場所...なの?」
「周りが、綺麗になってる...」
「...どういうことなんだ...」
雲一つない、深く澄んだ青空。
その空の色彩が、古びたステンドグラスを通して、石造りの広間に微かな光の粒となって降り注いでいた。
微かな、しかし確かな鐘の音が、遠くから、あるいは彼らの心の奥底から響き渡る。その音の余韻に導かれるように、少年少女たちはゆっくりと、重い瞼を持ち上げた...




