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美少女が表を歩けば

 アルトの手を引き、俺様は工房の外へと飛び出した。

 さあ、町のみんながどんな反応をするか楽しみだ。


 「どうしてマスターはいつもこういきなり……」


 アルトが隣で何かぶつぶつ言っているが知ったことか。

 

 工房を出て表の通りに行くと道行く人々が皆俺様達の方を見る。

 アルトはその理由がわからず困惑しているようだ。


 「いやー顔がいいって罪だなー」


 俺様はわざとらしく言ってみる。

 人々の視線が集まる理由は至極単純でそれは俺様とアルトが美少女だからだ。

 顔がいいやつが歩いていたら大抵のやつは一度はそいつの顔を見る。

 

 「マスター、なんかその……緊張します……」


 アルトが不安げに俺様の服の裾を掴んでくる。

 は?可愛いかよ。

 俺様の助手にアルケミスト以外にまさかこんな才能があったとは。

 よし、今日の行き先は決まりだ。


 「アルト、服買いに行くぞ」

 「服ならこの前も買ったじゃないですか」

 「バカか。お前のを買うんだよ」


 可愛いの素質があったとて所詮は女の子初心者か。

 そういうのはみっちりと教え込まなくては。


 「はい、というわけで到着ー」

 

 服屋に着いたところで俺様はすぐさまアルトを店内に連行した。

 俺様たちが来たのを確認した売り子がすぐにすっ飛んでくる。

 ここの売り子の大半とは顔見知りだ。

 

 「いらっしゃいハレちゃん。今日はどんなご用?」

 「コイツの衣類を一式拵えてやってくれないか?下着からな」

 

 俺様はそう言って後ろに隠れていたアルトの背を押して前に突き出した。

 てか俺様より図体がデカいくせに後ろに隠れようとするな。


 「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」

 「えっ、あのっ、マスター!?」

 「大丈夫だ心配すんな。俺様はここで待ってるからな」

 「いや、そう言うことじゃなくて!」


 アルトは何かを主張していたがそんなこともお構いなしに売り子に案内されて店の奥へ消えていった。

 

 そんなこんなで店内を散策しながら時間を潰すこと数十分。

 アルトが戻ってきた。

 概ね予想通りの時間だ。


 「あの、マスター。これって本当に必要なんですか?」


 アルトはモジモジしながら確認してきた。

 とりあえずで俺様が用意したものよりもずっといい感じになったじゃないか。

 やはりここの売り子の目に狂いはないな。


 「必要に決まってるだろう。おしゃれは女の子の嗜みだからな」

 「だからってこんな」

 「この際男であったということはきれいさっぱり忘れろ。ほーら可愛いー」


 アルトは自分が男であったことを捨てきれないらしい。

 まあこれは時間が解決するだろう。


 「なあなあ、さっき売り子から綺麗とか可愛いとか言われた?」

 「それは……言われましたけれども」

 「ちょっといい気分になったろ?」

 

 俺様が深入りしてみるとアルトは顔を赤くして黙り込んでしまった。

 図星だな。


 というわけで用を済ませて店を出たら次の目的地だ。

 荷物はほとんどアルトに押し付けた。

 まあ俺様より身体がデカいんだから当然だろう。

 

 「待ってくださいマスター。早過ぎます」

 「えー、それぐらい余裕だろ」

 「男の身体なら余裕でしたよ」


 アルトは嫌味っぽく言ってきた。 

 単純な筋肉が減るのは美少女になることの数少ないデメリットだ。

 とはいえ元々肉体労働が主ではないアルケミストにとっては大した問題ではないが。


 だがそれはそれとしてアルトの機嫌があまりよくないな。

 少しおちょくりすぎたか。

 予定変更、ご機嫌取りだ。

 助手を管理するのもマスターの務めってな。


 「ちょいと寄り道ー」

 「今度はどこ行くんですか?」

 「いいところー、期待してもいいぞー」


 どこに行くかは伏せながら俺様はアルトをとある場所へと連れていくことにしたのであった。

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