今日からお前は美少女だ
アルトの反応が楽しみすぎて一睡もできなかったぞ。
自分が今の姿になったときよりもワクワクするな。
時刻は朝六時、多分そろそろアルトが目を覚ます頃だ。
俺様はアルトの寝室の前でひっそりと聞き耳を立ててアイツの反応を待つことにした。
寝室からゴソゴソと物音がした。
多分お目覚めだな。
「……ッ!?」
寝室の向こうからアルトの動揺したような息遣いが聞こえてきた。
どうやら自分が美少女になったことに気づいたらしい。
よし、ここでネタバラシをひとつ。
俺様は意気揚々とアルトの寝室に乗り込んだ。
「おはようアルトちゃん。どうよ、朝起きたら美少女になってた気分は」
「マスター……これってマスターの仕業ですよね?どうしてこんなことを……?」
俺様が部屋に飛び込むとアルトは咄嗟に自分の胸を手で覆い隠しながら恐る恐る尋ねてきた。
どうやら鏡で自分の姿を確認したらしい。
というかコイツ初日にして早々に女の子仕草を見せてきやがったな。
実は女の子適正高いのでは?
「助手が美少女になったら嬉しいかなーって」
「だったらせめて一言相談ぐらいしてくださいよ!是非はともかく、私だって覚悟決めるぐらいはできましたよ!」
俺様が適当な方便を使うとアルトは俺様の肩をがっしりと掴んで揺すってきた。
あれ?もしかして喜んでない?
てか揺すりの勢いがすごすぎて頭がグラグラする。
「ぐえー、か弱い女の子を揺さぶらないで……」
「どの口が言うんですか!?今は私も女の子ですからね!」
アルトは揺さぶりこそ止めたが俺様の方に手を置いたままものすごい形相でこちらを見てきた。
そんなに気に食わなかったか?
「もしかして嬉しくなかった?」
「そういう話ではなくて」
「自分の理想の美少女になっても嬉しくなかったと?」
「それは、その……嬉しくない、といったら嘘になりますけど……」
ほら見ろやっぱり嬉しいんじゃないか。
俺様はアルトの後ろに回って彼女の背を押し、鏡の前に向かわせる。
「改めて見てどうよ。鏡を見たら目の前に美少女がいるってのは」
アルトの容姿は俺様を想起させないように念入りに調整を入れた。
髪の長さは俺様より長く、髪色は俺様とは全然違う艶のある明るい赤色に。
目の色は橙色にしてやったし、背丈はアイツの要望通りにすらっと高め、おっぱいも大きめにしておいた。
きっと今のアルトの姿を見れば誰もが美少女と言うだろう。
「悔しいですが、かなりタイプです……」
「ふっふっふ、そうだろうそうだろう」
アルトはモジモジしながら答えた。
まあそれも当然だ、なんてったってこの俺様が拵えた肉体だからな。
さて、それはそれとしていつまでもアルトを裸のままでいさせるわけにはいかないし、何か着せてやるか。
俺様はできるアルケミストだからちゃんとコイツに合う下着を俺様の下着を合成、再構成して作成しておいたのだ。
アルケミストはこういうところで出費をケチれるのが強みだ。
「ここに用意したのがアルトちゃんの下着だ。初めてで勝手がわからんだろうから今回は俺様が着せてやろう」
「なんで用意してるんですか」
「美少女になって下着の一つも持ってませんじゃ困るかなーって」
「そういうところに気を回せるのにどうしていきなりこういうことをするんですかね」
お、嫌味か?
まあアルトが俺様に対して嫌味を零すのは今に始まったことじゃないし、これも愛嬌ってことで一つ。
「美少女の世界へようこそ、ア・ル・ト・ちゃん」
俺様がアルトの肩に手を置いて呼びかけるとアルトは心底嫌そうな表情を浮かべた。
こんな反応をしているがさっきの仕草や言動を見るにきっとコイツは逸材に違いない。
じっくり育て上げてやろうじゃないか。




