お前も美少女にならないか?
お久しぶりです。火蛍です。
『スペック高いのに人として終わってる主人公』を書きたくて勢いで書きました。
この世界には錬金術がある。
複数のものを掛け合わせて違うものに作り変える『合成』、ものの性質を抽出して違う形にする『錬成』、ものの性質を引き継いで形だけを作り変える『再構成』
そしてそれらを行うための技術の総称を錬金術と呼び、錬金術を扱える人間はアルケミストと呼ばれている。
さて、そんな錬金術の世界に革命が起きたのが数年前。
錬金術による人体の合成・錬成・再構成がついに安全に行えるようになったのだ。
安全性、再現性、可逆性のすべてが保証された理論と術の確立によって欠損した部位の復元や回復が容易になり、人類の傷病からの生存率は飛躍的に向上した。
で、その技術を確立したのが俺様ってわけ。
その技術を使って自分の肉体を美少女に改造してみたらこれが大成功、周囲からも大受けして世界中のアルケミストの間で美少女化が大流行だ。
そんな前人未到の大偉業を成し遂げた俺様のことを人は『天才美少女アルケミストハレちゃん』と呼ぶのだ。
どうだ、すごいだろ?
「起きてくださいマスター。朝です」
ある日の朝、一人の男が俺様を起こしにやってきた。
コイツは助手のアルト。
少し前に助手に付いたやつで、アルケミストとしての能力は俺様と比べれば半人前といったところだが世間的にはできるやつと言われている。
「えぇー。もうちょっと寝かせてくれよ……」
「ダメです。このままだと朝食抜きで始業になりますよ」
アルトは生真面目な奴だ。
仕事に対して真摯でとりわけ始業と就業に関してはかなりうるさく、すでに支度を終えていていつでもいいといった具合だ。
もう少し寝ていたいがでもまあ流石に朝食はとりたいなぁ。
俺様は渋々ベッドから出ることにした。
洗面所に向かい、鏡を見ながら身支度を進める。
白銀の髪に空色の瞳、シミひとつない綺麗な肌。
毎日見ても飽きない絶世の美少女が目の前に立っている。
瞼が半開きになっているが顔がよければどんな表情をしていても可愛く見えるものだ。
うーん、我ながら見事と言わざるを得ない。
身支度を済ませた俺様はアルトの用意した朝食に手をつけた。
アルトは炊事に洗濯といった生活に関する能力は俺様よりも優れている。
でと俺様だって何もできないわけじゃないんだぞ、料理なら煮るとか焼くぐらいならできるからな。
「アルトはさ、美少女になりたいとか思わないの?」
「特に考えたことないですね」
アルトは美少女化については特に望んでいないという今時にしては珍しいアルケミストだ。
「へー、なんで?」
「美少女になったところでアルケミストとしての力が上がるわけではありませんから」
アルトは美少女化を望んでいない理由をそう主張した。
主張そのものはごもっともだ。
美少女化によって変化するものはあくまで外見のみ、能力が向上するわけではない。
「そういうマスターこそ、どうして今のお姿になられたんですか?」
「そりゃあ、なりたかったからに決まってるだろう」
俺様が美少女化した理由はただひとつ。
『自分がそうなりたかったから』
それだけだ。
あ、そうだ。
せっかくだしアルトのことを美少女にしてやりたいなぁ。
「アルトってさ、彼女にするならどんな子がいい?」
仕事中、一息つきがてらアルトに聞いてみた。
コイツの思い描く理想の女の子の参考にするためだ。
「マスターみたいな子じゃなければいいですね」
コイツ……真面目なように見えて意外と遠慮なく物言いするんだよな。
まあそれはそれとして、少なくとも俺様の容姿とはかけ離れてる方がいいってことか。
「具体的に言うと?」
「背がすらっとしてておっぱいが大きい子がいいですね」
「ほー、お前も男よなぁ」
「マスターだって元は男だったじゃないですか」
「忘れたな」
俺様も元男だがこの姿になって久しい。
すでに女の子に染まっていて男だった時のことはほとんど忘れてしまった。
背が高めで巨乳の女の子がタイプなのか。
それでいて俺様を想起させない特徴を付け加えておけばいいんだな。
その日の夜、俺様はアルトが寝ている間にアイツの肉体を合成、錬成、再構成してやった。
他のアルケミストなら丸一日かけてやるようなことでも俺様なら一晩でできる。
いやあ、自分の才能が恐ろしくなってくるな。
何せアイツの理想の背がすらりとしていておっぱいが大きい女の子にしてやったんだからな。
目を覚ましたらどんな反応をするのか楽しみだ。
気が向いたら続き書きます。




