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伯爵令嬢シェリア・ハジェットの夢~はじうま令嬢は、舞台の上で輝きたい~  作者: Na20


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「それでね七日後なんだけど、予定はどうかな?」


「七日後……そうですね、特に予定はないので大丈夫です」



 劇団の練習には毎日行っているけど、一日くらい休んでも問題ないだろう。



「よかった。じゃあ七日後の放課後、教室に迎えに行くね」


「はい、分かりました」



 きっとすごい人なんだろう。そんな漠然とした考えを抱いていた私だったが、この時はまだ知らなかった。

 まさかそのすごい人が、本当にすごい人だったなんて。



 そして七日後の放課後。

 エセル様にエスコートされ馬車に乗り込んだ。

 最初は緊張していたが、ここ最近はエセル様にエスコートされるのにも慣れてきた。



「わぁ……!」



 城に来るのはデビュタント以来。

 その時はすごく緊張していて、こうしてしっかりと城を見る余裕はなかった。

 今も緊張はしているが、舞台に立った経験のおかげかまだ心にゆとりがある。


 学園を卒業したら私は貴族籍を抜け、役者として生きていくつもりだ。

 そうなれば城に来る機会なんて数年に一度行われる『王室興業』くらいしかない。

 だからこれはまたとない機会。今のうちにこの美しい城を目に焼き付けておこう。



「ふふ、気に入った?」


「あっ」



 そうだった。城の見学に夢中になっていたけど、隣にエセル様がいたんだった。

 それなのにキョロキョロと……きっと子どもみたいだと思われたに違いない。



「すみません。城に来る機会なんて滅多にないのでつい……」


「構わないよ。こんなに楽しそうに見てくれる人はそういないから、単純に嬉しくてね」


「お、お恥ずかしいです……」



 うっ……さすがに見すぎだったね。反省しないと。



「気にしないで」


「ですが」


「だってこれからここが君の家になるかもしれないでしょ?それなら今のうちにしっかり見ておいた方がいいだろうしね」


「へっ!?」



 私の家って……いやいやいや、ないでしょ!

 それは本当の婚約者の場合であって、偽恋人の私には関係のない話。

 ……きっとこれは、エセル様なりに私の緊張を解そうとしてくれたのだ。要するにただの冗談。



「エセル様でも冗談なんて言うんですね~あはは……」



 冗談の規模が壮大過ぎて焦っちゃったけど、そうに決まってる。



「……冗談じゃないんだけどね」


「え?今なんて……」



 何か言ったような気がしたが、小さくてよく聞こえなかった。



「ううん、何でもないよ」


「……そうですか」



 エセル様の言葉を聞き逃すなんて、弛んでいる証拠。

 これからは一言一句聞き逃さないように、気合いを入れないと。



(よし!)



 私は気づかれないよう、小さく気合いを入れたのだった。


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