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「……エリーが」
私は先ほど教師から聞いたことを話した。
エセル様は私の話を最後まで黙って聞いてくれた。
「……だからエリーに会わなくちゃ行けないのに、私はエリーがどこに住んでいるかも知らなくて……」
「なるほど」
「このままじゃもう二度と会えないような気がして……でもどうしたらいいのか」
こんなんじゃ友達失格だ。
私に出きることなんて何も――
「大丈夫」
「え?」
「私がいる。ほら行こう」
エセル様に手を取られ、たどり着いたのは学園の馬車乗り場。
今の時間は授業中。本来なら馬車はないはずなのだが、そこには一台の馬車が。
「この馬車は……?」
「これは私が手配した馬車だから心配いらないよ。さぁどうぞ」
促されるままに馬車に乗り込む。
そして馬車は進み始めるが、一体どこに向かっているのか。
「あの、エセル様。この馬車は一体どこに」
「ラストル男爵家だよ」
「えっ……」
「エリー・ラストルに会いたいんだろう?」
「そう、ですが……」
たしかにそうなのだが、あまりにも流れが速すぎて、まだ理解が追い付いていない。
そもそもなぜ馬車があったのか。
そしてこの馬車は目的地を告げることなく動き出したのか。
それにあの時間は授業中だった。だからエセル様と会うわけないはずなのに……
そこまで考えて私はようやく気がついた。
「……もしかして、ご存じだったのですか?」
「何がかな?」
「その……エリーが退学したことを」
そう考えれば辻褄が合う。
エセル様はすでにエリーの状況を知っていたのだ。
「うん、知っていたよ」
「それなら私に教えてくれても」
「もし教えたとして、君に何かできたの?」
「っ!そ、れは……」
何も言えなかった。
結局少し早く知ったところで、彼女の居場所さえ知らない私にはできることなんてなかったのだ。
「あ……ごめん。そんな顔させたかったわけじゃないんだ」
「……じゃあどうして」
「……嫉妬だよ」
「え?」
エセル様が嫉妬?一体何に?
あまりにも彼に似つかわしくない言葉に戸惑ってしまう。
「最近は私といても彼女のことばかり気にかけていただろう?だからちょっと意地悪したくなったんだ」
「い、意地悪って……」
ねぇエセル様はどうしちゃったの?それとも私の耳がおかしいの?
今は周りに誰もいない。だからそんな愛おしそうな表情はしなくてもいいのに。
エセル様の表情を見ると、なぜだか胸が苦しくなる。
「……今は意識してくれただけで十分か」
「え?」
「いや、なんでもないよ。話を戻すけど、実は以前から彼女のことは調べていたんだ。……ああ、勘違いしないでね。ほら、私たちには誰にも言えない秘密があるだろう?だから念のためにね」
「!」
エセル様がエリーを調べていたことについては、何か言うつもりはない。
私たちの関係は契約に基づくもので、決して他の人に知られてはいけないから。
でもさ『誰にも言えない秘密』って……わざわざいかがわしい言い方はしないでよ!




