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第50話 琴音の式神を増やそう!

 冒険の前に、ギルドの食堂に集まって朝食会議。いつの間にか、これが日課になっていた。


「ねぇ。琴音ちゃんは式神を調伏しないの?」


 アリサさんがスプーンをピコピコ揺らしながら、琴音に聞いた。

 先っちょについたヨーグルトが飛んできたんだけど!


「私は秀ちゃんみたいに才能ないからなぁ……」


「私から見たら、琴音ちゃんも凄すぎて違いがわからないわ」


「まぁ私もちょっとは強い方なんだけど。秀ちゃんは別格だよ」


「そうなの?」


「うん。現代の陰陽師はね、殆どの人が人造式神を使っているの。本物の悪鬼や妖怪を調伏するのって危険と隣り合わせだし、調伏したからって完全に信用できる味方とは限らないんだよ」


「それは怖いわね……。私も式神は人造式神でいいわ。琴音ちゃんもおっきな鬼とか白い虎を従えてるから強いの?」


「白虎は人造式神。レプリカなの。本物の白虎は神獣だよ。式神になんて無理無理」


「へぇ。じゃあ私にも使えるのかな?」


「うん。頑張れば使えるよ」


「ちょっと楽しみね。おっきな鬼は本物よね?」


「うん。でもね。轟雷童子は狐鈴の後ろ盾があるから、式神になってくれてるんだよ。呼び出しに応じてくれるけど、供物を捧げないとダメだし」


「琴音よ。強い式神を従えているのも実力じゃ。また、強い後ろ盾を持つのも力じゃよ」


「そう言ってくれると助かるよ」


「何を不安がっとる。お主も我にとっては可愛い子じゃよ。安心せい」


「ありがとう」


 俺には少しわかる。式神を従えるって本当は怖い。殆どの場合、元は悪鬼や妖怪なんだ。だから信用できない。

 味方の顔をして、いつ牙をむくかわからない。

 狐鈴は別だけどな。

 浄土世界で修行している奴はまだ信用できる。

 問題なのは、紅蓮童子と轟雷童子。幽世に身を置く鬼だ。話が通じる方だけど、いつ寝首をかかれるかわからない。

 調伏したばかりの頃は、不安だったし、悪夢を見たっけな。

 

「秀ちゃんは本当に凄いよ。狐鈴は……例外中の例外だけど、人造式神に本当の鬼、神鳥とか天使とか従えてるし、今度は竜人だもん」


「琴音も調伏してみるか? こっちの世界の……例えばデーモンとかじゃなくて、狼とか制御しやすそうなやつ。幽世行きのはやっぱり怖いからさ。浄土世界へ送り込めそうな奴を探して調伏してみようぜ」


「私にもできるかな?」


「できるさ。師匠に監督役やってもらおう。浄土世界への扉は俺が開くし」


 式神には色々と種類がある。呼び出して初めて認識されるような、あやふやな妖怪もいれば、鬼や天使のように、幽世や浄土世界に住んでいる存在もいる。


 幽世とはいわゆるあの世だ。死後の世界のことで、神様や死者の霊魂が存在する世界のことだ。

 幽世は幾つか階層があって、上の方は神々の世界で、下の方は死者や霊魂が存在する世界だ。こっちは日本神話を想像すれば、わかりやすいかもしれない。


 対して浄土世界は仏教において、悩みや苦しみから解放され、仏道の修行に集中できる世界だ。


 陰陽道って神仏習合なんだよね。


 鬼も様々で、妖怪のような悪の鬼もいれば、地獄で罪人を裁く鬼、時には仏法を守護する神仏の配下までいる。善の鬼も、悪の鬼も両方いるし、その在り方も様々だ。有名な風神様や雷神様は自然現象の化身みたいなもんだしな。


 紅蓮童子と轟雷童子は、鬼に堕ちた元人間らしい。

 平安時代。京都で大暴れした怨霊がいた。その怨霊を倒した陰陽師に、紅蓮童子と轟雷童子は従えていたらしく、どちらかというと善に属する鬼だ。


 そして時々現れては、早川家や近藤家を助けてくれたりする謎の鬼でもある。

 今は俺と琴音がそれぞれ調伏して、式神になってくれているけど、それだって鬼は鬼だ。助けてくれるのは良いけど、百パーセント信用なんてできない。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 再生数ランキングイベントが始まった。今度のイベントは、ライブ配信での同時視聴者数とアーカイブの総再生数で競うランキングバトルだ。


 今回のイベント報酬はレアな装備品のカタログギフト券だ。

 ラインナップの中に刀があったので、スキル取得のために絶対欲しい!

 ……なんだけど。俺達の順位は今五十二位。約半分だな。

 報酬は三十位からあって、順位が上なほどカタログのラインナップが増えていく。お目当ての刀は二十位からもらえる。……厳しい。


 始まったばかりの順位だと、アリサさんが一位。続いて同じ事務所のまどかさんが二位、三位はゲーム実況者のダンツさん。この人はしゃべりが面白いし、途切れない。


 キャサリンさんも十五位。レンさんも二十三位と高い。そしてダークホースなのが師匠だ。師匠と千葉童子のちょい悪コンビがブレイクして三十二位だ。配信を始めてそれほど経ってないのに、俺達より上だなんて……


「秀ちゃんどうしよう。真田さんと御影さんもいるから、もう陰陽術の珍しさもなくなってきたよね?」


「そうだなぁ」


「いよいよ水着?」


「水着で戦うとかありえないだろ。ってまどかさんがたまにやってるか」


 シールドがあるから出来ることだよな。


「あの再生数、えぐいよ」


「やっぱ俺達は戦闘じゃないかな?」


「うーん。そうだねぇ。あ! ヒュドラを調伏した配信は、ライブの再生回数も、アーカイブの伸びも良かったね」


「確かに!」


「逆に召喚した配信は炎上しちゃったけど……」


「琴音がいるのに、美少女を式神にするとかありえないってな……」


「そうだよ! ありえないよ!」


「じゃあさ。やっぱり琴音の式神を増やしていかないか? そっちの方が人気が出そうだし」


「オッケー。でも浄土世界へいけそうなモンスターだけだよ?」


「わかっているさ」

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