表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/30

第29話 アンデットの森

「いやぁぁああっ! オン・ビャクコク・テン・カガチ・ソワカ!」


 アリサさんが迫りくるゾンビ達を見て、半狂乱になりつつも術を唱えた。


「狐火よ集え、炎の尾よ、九つの業火、吠え猛りて悪を灼け! 焔尾轟火えんびごうか! 急ぅ急ぅ如律令ぉぉおお!」


 青白い炎がゾンビ達を包み込み、骨も残さず焼き尽くした。

 森の中で炎の術はちょっと危険だけど、結構湿った森だから、そうそう火事にならなそうだ。そんな心配をしていると、アリサさんが詰め寄ってきた。


「アンデッドが出るなんて、聞いてないんですけど!」


 アリサさんが燃えているゾンビを刺しながら、文句をぶつけてきた。


「俺も詳しく知らない。調べたら別名死者の森って言われてるくらいしか……」


「それを早く言いなさいよ! 私もう帰りたい!」


 ワーズの森は別名死者の森と呼ばれている。その名の通りアンデッドの巣窟だ。あちこちから呻き声が聞こえ、死体が徘徊し、実体を持った幽霊が、木々の間を飛び交っている。しかもレベル三十前後とそれなりに高い。少し前に戦ったレッサーデーモンのレベルが三十なのに、ゾンビやスケルトンもレベル三十前後ってどうなんだ? 吸血鬼の下僕となったアンデッドなら、レベルが高いのだろうか? それとも共食いでもしてレベルが上がってるのか?


「ここまで来たら覚悟を決めろよ。陰陽術って基本的に神様の力を借りるから、アンデッドとは相性がいいんだ。良い修行になるさ」


「それはわかってるけど! 生理的に無理なの! わかってよ!」


「秀ちゃんデリカシーないよ。秀ちゃんだって、ジェットコースターとか苦手でしょ」


「アレは死ぬだろ!?」


「死なないよ!」


「早川君でも苦手なものあるんだ」


「……ごめん。悪かったよ。前衛は任せろ。なるべく接近する前に対処するよ」


「わかったわ。格好いいこと言うじゃん」


「秀ちゃんは渡さないよ?」


「琴音ちゃん、顔が怖いって。私そんな気ないからね!」


「むぅ、怪しい……」


「琴音、背中を預けたぞ」


「うん! 任せて!」


 戦闘音や俺達の会話に反応したのか、ゾンビやスケルトン達が木々の間から向かってきた。

 有言実行! 近寄らせないぜ!


「光の精霊よ。我、光のことわりなる環状印を捧げん」


 陰陽術は相性が良いと言いつつも、俺と琴音は聖属性の魔法を閃くために、光や火の魔法を使うことにした。


「汝、光陣より来たりて槍と化せ。全てを貫き疾走せよ! シャイニング・スピア!」


 放たれた光の槍が、ゾンビ達をまとめて貫いた。


「光の精霊よ。我、剣の舞にて精霊門を開かん」


 琴音が小さく剣舞を踊りながら呪文を唱えた。


「我、求むは焦熱の光、我、求むは灼熱の光。輝く閃光よ。我が導きに従え! シャイニング・セイバー!」


 琴音の剣が高熱の光に包まれる。


「はあっ! クレセント・カット!」


 琴音の剣が流れるように横薙ぎに払われると、ゾンビの身体が真っ二つになった。

 高熱の刃に焼かれ、断面から炎が広がっていく。続いてスケルトンが間合いに入ると、琴音は踵を軸に半回転し、剣先を跳ね上げる。


「ライジング・カット!」


 スキルと共に放たれた逆袈裟の斬撃が、スケルトンをバラバラに吹っ飛ばした。

 琴音の剣が、俺の魔法が、次々とアンデッド達を倒していく。これじゃあ背中を任されたのは俺の方だな。


 アンデッドの数が多い。森の地面を引きずるような足音や、スケルトンが威嚇するように鳴らす骨の音が連なり、耳障りな騒音となって響く。まぁ……それよりうるさいのは、アリサさんだったりする。


「いぃぃぃやあああっ!」


「まったくうるさいのぉ」


 狐鈴がジト目でアリサさんを見つつ、スターライト・シュートを連打していく。無詠唱魔法が羨ましすぎる。

 倒したと判定されたアンデッド達の死体が、案内妖精によってアイテムボックスに入って行く。これって買い取りしてくれるのか? 魔法の触媒とかになる? というか、普通に人の死体なのでは?


「私、絶対にいらないから!」


 戦闘後にアリサさんが案内妖精に文句を言っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ