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第15話 燃えろ! 私の厨二病!

「いぃぃぃやぁぁああ!」


 俺達は再び森の中を駆け抜ける。アリサさんの悲鳴と共に!


 枝から枝へ、木から木へ。ジャンプスキルを繰り返し使い、もはや森の上を走るかのように駆け抜ける。

 まるでジェットコースターのように走り抜けながら、視界に入るモンスターに襲い掛かる。まずは俺が斬りかかり、琴音が追撃し、最後に狐鈴に憑依されたアリサさんが止めを刺す。


「オン・コン・パー・バラ・ウン! 狐火よ、焔となりて翔けろ! 焔火ほむらび! 急急如律令!」


 何度も同じ妖術を使い、呪術と妖術の流れを体に覚えさせているようだ。

 ただ案内妖精が対処できなかった。死体の回収が出来ない程の高速戦闘だから、今日は儲からないな。


「レベルアップしたな。ほれ筋力にステ振りじゃ。まだまだ秀一と琴音は本気を出しておらんぞ」


「私、魔法使い系を目指しているのに……」


「カカカッ! 心配ない。魔力にステ振りなぞいらん。我が妖力を流し続けておるからな。ガンガン上がっておるぞ」


「ホントだ……」


「ほれ、さっさと上げんか。琴音よ。回復魔法じゃ」


 ステータスを上げると、強制的に肉体改造されるからな。あの痛みには未だに慣れない。


「はーい」


「目指すは高速戦闘型魔法少女じゃな!」


「サブカル吸収し過ぎ!」


 ふとアリサさんは少女と言える歳なのかと思ったけど、口に出したら炎上する上に、チャンネル登録者数が激減するかもしれない。


「エア・ブースト!」


 俺はスキルを発動して、木々の上へと大ジャンプした。


「ちょっと待って!」


 アリサさんが絶望に満ちた声を上げたけど、狐鈴が問答無用で大ジャンプした。


「ひぃぃあああ!」


 今日何度目かの悲鳴が木霊する。

 浮遊の魔法や飛翔魔法がなかったら、落下死する高度まで上がると、少し開けた場所にモンスターの群れを発見した。


「爆撃用意!」


 俺達は一斉に中級魔法と呪術を唱えると、飛翔魔法を制御してモンスター達の真上まで滑空する。


「ファイア・ストーム!」


「ライトニング・レイン!」


「妖焔炸裂陣! 急急如律令!」


 炎の渦が荒れ狂い、雷が天地を繋ぎ、狐火が降り注いで爆破していく。

 モンスター達の断末魔が響き渡るが、止めの追撃魔法によってかき消えた。

 俺達は水と氷の魔法で消火して、水と氷の魔法の熟練度稼ぎも行う。


「次行くぜ!」


「了!」


「パワーレベリングとか言うレベルじゃない! うぷっ……」


 スキルと魔法を駆使して森を抜ける頃には、ついに飛行魔法を覚えることができた。

 それを見たアリサさんが羨ましいそうに、悔しそうにしていた。アリサさんだって時間の問題だって。


「のうアリサよ。魔法少女と言えば、空中戦だと思わぬか?」


 憑依を解除した狐鈴が、アリサさんに聞いた。


「どんだけ魔法少女が好きなのよ」


「昔、魔法少女が戦うアニメを見ての。……正直憧れた。正義の魔法少女になると決めた。この巫女服とて、魔法少女に憧れて着ておる!」


「本物のコスプレだったの!?」


「かかっ! 巫女装束がミニスカートのはずなかろう? 尻尾を出せるのは便利じゃがな!」


「た、確かに!」


「しかしこの式は優秀よの。ちゃんと下着が見えないギリギリのアングルを攻めておる」


「映ったらアカウント停止のリスクがあるからね」


「下着くらい平気じゃろうて。配信はアバターに変換されるのじゃろう?」


「アバターで配信してる私達にとって、第二の肉体よ。見られたくないの」


「そうか。それは失礼した。話を戻すが、琴音は魔法少女に興味がなくてな。いつか『二人は魔法少女!』をやらぬか?」


「そうねぇ。私も学校の校庭に魔法陣を描いたことあるくらい好きよ」


「なんと! お主、見込みがあるの!」


「女の子はね。誰もが一度は憧れるのよ! 魔法少女に! 封印を解き放ってやるわ! 燃えろ! 私の厨二病!」


 アリサさんがポーズを決めて、訳がわからない気合いの入れ方をした。


「かっこいいのっ! 我も燃やすぞ! 厨二病を!」


 続いて狐鈴もポーズを決める。


「妖術で飛んだら、飛行の魔法が閃くかなぁ」


「それじゃ! あの丘まで飛ぶぞ!」


 再び狐鈴に憑依されたアリさんが、妖術でアストラルゲートに向かって飛び立った。


「何やってるんだか」


「秀ちゃん。私達も似たようなもんだよ」


「確かに俺らも陰陽術で戦いごっこやったよな」


「すっごい怒られたけどね」


「本物の妖怪退治して来いって、現場に連れて行かれたっけな……」


「うん……私達、最年少デビューだったよね……」


 俺と琴音は昔を思い出しながら、ちょっと身震いした。琴音が魔法少女に憧れなかったのは、まぁ当然かもしれない……

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