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第12話 現代の陰陽師と妖狐の美少女式神(ロリババア)

 俺達が帰還した夜。LunaTubeからヤスノ達のアカウントが削除された。


 削除理由はモンスターをけしかけたことによる殺人未遂だそうだ。トレインはゲームの中だから罪に問われない。でもここはゲームみたいな世界だけどゲームじゃない。現実の世界なんだ。そこを勘違いしちゃだめだ。


 アカウントを削除されたヤスノ達は、プレイヤーとしての特権を剥奪された。

 特権とはパッシブスキルやレベルアップ補助等だ。

 俺達ってこの世界の人間より、レベルが上がりやすかったらしい。

 ヤスノ達は冒険者ギルドに保護されたけど、その後、彼らの姿を見ることはなかった。

 それ以上のことは、メニューにあるお知らせページにも書いてなかったし、案内妖精に聞いても教えてくれなかった。


「お待たせさん」


「おぉ! 美味そう!」


 俺はメニューを閉じると、運ばれてきた唐揚げを頬張った。

 俺達はギルド近くのレストランで、少し遅い夕飯を取っていた。 

 この世界の料理も結構おいしいな。現代日本の料理と比べちゃいけないけど。


「LunaTubeからアカウント削除されたら、プレイヤー特典も削除されるってことか」


「カメラが回ってる時は過激なイチャイチャも気をつけないとね」


 琴音が真面目な顔をして言った。


「気をつけるのそっち!?」


「あははは……」


「ねぇ。あんた達って何者なの?」


「現代の陰陽師だよ」


「陰陽師ってよくわからないんだけど? 呪術使って戦う人?」


「うーん。占いしたり、おはらいする国家公務員かな。明治維新後に、陰陽道が廃止されちゃったから、公務員だったって知らない人が殆どだと思う」


「陰陽師自体が架空の存在だと思ってたわ。和風ファンタジー的なやつ」


「普通そうだろうね。陰陽道は陰陽五行説を基に、日本で独自に発展した呪術や占術なんだ。最初は国家や貴族のために、吉凶を占ったり、災厄をはらったりしてたんだよ」


「へぇ……あっ! 廃止されたのに、現代の陰陽師ってどういうこと? 裏では続いていたってことなの?」


「そう。今は国を守る組織の一つ。術や占いで影から国を守ってる存在だよ」


「私達はまだ高校生だから、バイト扱いだけどね」


「……なんかピンとこないわ」


「ぶっちゃけると、現代日本にも呪術があったり、悪鬼妖怪がいるんだ。俺達陰陽師は、今でも妖怪退治したり、悪霊を祓ったり、怪異現象を解決したりしてる」


「あんなの見せられたら信じるしかないわね。陰陽術ってその……呪ったりするの?」


 アリサさん若干引いてるな。まぁ一般的に怖いイメージがあるか。


「まぁそんなイメージがあるけどさ。実はその逆。神様の力を借りるんだ」


「え? 神様?」


「神様や仏様にお願いして、怨霊とか悪霊を鎮めたり、呪いを祓ったりするんだ。悪鬼妖怪を倒すためにお力をお貸しくださいってね。逆に呪いとか災厄をもたらす術は禁じられている。だから俺達は使えない」


「そう。ちょっと安心した。なんかイメージと違ったわ。あっ、色々と召喚してなかった? 式神って奴?」


「そう。式神。神様の御使いと契約したり、鬼や妖怪を調伏ちょうぶくして従わせたり。あっ! 狐鈴こりんのこと忘れるところだった!」


「なんか言いかけてたよね。怒らせると怖いよ」


 俺は息を整え、覚悟を決めてから狐鈴召喚の呪文を唱えた。

 ここに召喚すると派手な事になるので、店の外に召喚する。


 しばらくすると狐鈴がレストランに入って来た。突然現れた巫女のコスプレ美少女に、レストラン中の視線が集まった。しかし狐鈴から発せられる妖気に当てられると、みんなすぐに視線を外した。関わってはいけない存在。そう思わせる何かを感じたんだろう。


「秀一よ。いいように呼び出したな」


「ごめんなさい」


「ふん。ここが異世界か」


「よくわかったな」


「お主達の配信を見ていたからな。それにしても面妖な世界じゃ」


 妖狐の狐鈴が言うかな……


幽世かくりよとも違うな」


「狐鈴でもわからないのか?」


「我を万能と思うなよ。ん? 見かけない顔……いや、確かアリサとか言ったな」


 狐鈴が俺達の配信を見ていたなら、名前を知っていてもおかしくないな。


「あっうっ……」


 アリサさん、狐鈴の妖気に当てられたか?


「か、可愛いいいいい!」


「んな!」


「耳触っていい!?」


「手首を落とすぞ!」


 狐鈴の妖気が膨らんだ。


「ひっ!」


「秀一。この怖い者知らずはなんだ? 見鬼の才があるようだが?」


「は……初めて会った時、琴音ちゃんも私のこと、見鬼って言ってたわね」


 狐鈴にビビッて、琴音に意識を向けたな。


「見鬼ってなんなの?」


「妖を見ることができる力だよ。幽霊とか見たことない?」


「……子供の頃何回かあるかも。最近は見なくなってホッとしてたんだけど」


「秀一。こやつ、才能あるぞ。われの妖気を当てても平気でいるからな」


 平気そうに見えないけど。まぁあれだけの妖気を当てられて、逃げたり、気絶しないだけでも凄いかもな。


「……さっきから怖いです。生意気なこと言ってごめんなさい」


「ふむ。素直よの。良かろう。許す。さて秀一よ。雑な扱いの代償はわかっているな?」


「わかってるよ。お稲荷さん、厚揚げ、揚げ出し豆腐、〆《しめ》はきつねうどん。デザートにみたらし団子でどうだ?」


「フルコースではないか! 小遣いでも増えたか?」


「赤ウルチャが入ったから」


「配信の稼ぎか」


「小娘」


「わ、私の事ですか?」


「うむ。貢物を寄越せば、力を貸してやろう」


「力?」


「力だ。見鬼の才がもったいないからの」


「狐鈴。本音は?」


御神酒おみきが欲しい。お主ではまだ買えぬからな!」

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