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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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9/21

面談は事業撤収会議に似て

 あまり伸びなかった九月の模試。


 九月の模試の結果が判明して早々に、塾の先生方との面談がある。そこで受験校を決める事になる。


 模試結果を見直すと。

算数微増、国語微減、理科急上昇、社会増だった。――理科だけならお別れしたO校を目指せる成績である。


 そして。算数は前回の模試と同じパターン。B先生の注意を聞かず()()()()()まで手を出して失点。途中式を省いて計算問題、基礎問題を落としている。


「自分、何でこの問題落としてるん?」

 そう聞くと、たろうは少し肩を震わせた様に見えた。

「頭が真っ白になるんや……」

「……そっか、分かるわ~。お母さんもな、中受の模試や本番の時は鉛筆持つ手がぶるぶる震えたもんな~。」


 と、やりとりしながら内心は、私も頭が真っ白になっていた。やっぱりという思いとなぜもっと早く対策しなかったという後悔でぐしゃぐしゃになって。


 そうだ、たろうはものおじしない姉のはなと違いチキンだった。誰に似たって?私だよ!――来る面談で先生に相談しようと心にとめた。


 そして。迎えた塾の先生との面談。

涙目でお願いしてついてきてもらった相方と私に、算数のB先生と国語のC先生。面談室の空気はどんよりしていた。


 他人事の様に先生の話を面白がって聞いている相方(それでも居てくれるだけで冷静になれた)。明るく先生と話す相方の隣で私は思った。


 この空気、何かに似ている。

そうだ、事業撤収会議だよ。

「思ったより伸びませんでしたな~」

「これから、どうやってこのプロジェクトたたみましょうかね~」


 今、思い返しても口惜しい。

伸ばせなかった私が悪いのだけど。たろうの努力を頑張りを、敗戦処理扱いされている気がしてならなかった。


 その瞬間、自分のモードが切り替わったのを感じた。


(このまま終わらせてたまるか。)


 この際だから全部聞こう。都合の悪い情報、考えられる全てのリスク、対処法を。私は先生方を質問責めにした。その姿は、かつて私を質問責めにした顧客担当者にそっくりだったと思う。


(さあ、知ってる事を全部はけ! )

かつての担当の方も同じ気持ちだったのだろうか。




 相方が聞いた「やっぱり、たろうにはついていけないんですかね?」という質問には、意外にもB先生もC先生も否定してくれた。


 B先生は

「授業の様子を見てれば分かりますよ。ついていけない子はたろう君の受けている授業内容はいくら教えてもわかりません。たろう君はわかってます。」

と話し。C先生は

「たろう君は繊細で地頭が良い子です。N校の国語の問題はそんなたろう君にあってますよ。」

と言ってくださった。


 一番の懸念、たろうのメンタル対策についてB先生は言った。

「大丈夫ですよ。1月の前受け、沢山受けましょう。毎週受けるぐらいでちょうどよいですよ。本番になる頃には死んだ目になって『ああ、また試験か』ってなって平気になりますよ~。」

「分かりました。受けさせます。」

と言ったものの。


受験料が。が。が。


脳内で預金金額を必死になって計算した。多分……大丈夫(相方が出さないのはこの時点で分かっていた)。中学受験は親の経済力とは良く言ったものだ。


 受験校は本命M校、挑戦校N校に変わった。そして秋のミッションに第二、第三の抑え校の選定が追加された。



 面談の最後にC先生が一言。

「大丈夫ですよ。12月にはたろう君の成績はN校に届きますよ。」


 あの時は慰めの言葉だと思っていたが今になると思う。


 たろうの力を一番信じていたのは親の私達ではなく塾の先生方だったのかもしれない、と。


当時通っていた塾での話です。

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― 新着の感想 ―
事業撤収会議に例えるのが……重い……。  事業の継続判断は社長に丸投げできるけど、子供に関することはなんだかんだ言って母親に全部掛かって来るから、プレッシャー半端ないところですね。 (父親はどんだけ…
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