不安を抱え続けた初夏。そして地獄の釜が開く
スランプの話の続き。
初夏に入り、一時期に比べ机に向かう時間は増えたものの、たろうの調子はあまり回復しませんでした。
「無理。休憩させて」
集中が続かず、小まめに休みを取る状態がつづきます。
そして、減りつづけた勉強時間の影響がじわりじわりと出てきました。
端的に言うと処理スピードが落ちた。各科目約一時間で回答する中学受験には致命的です。
文章を読むスピードが落ちた。
計算スピードが落ちた。
計算力は筋肉と同じで練習しないとすぐにできなくなります。
本人もそれがわかっていたのでしょうね。焦って途中式を省くようになり、後日大もめすることに。
得意科目の理科も成績が下位に下がり。算数の応用問題にいたっては、三十分たっても一時間たっても解けないのに粘る。
思考を止めない、諦めないで考え続けるのは、本来はとても良いことなのでしょう。
しかし。これから挑む中学受験では一時間弱で多量の問題を解くことが必要です。残念ながらそれは求められない。次の問題を解くように促すと。
「お母さんは解けないくせに。黙っていて!」
これだよ。確かにポンコツ文系だから解けないけどさ!一応、中学受験の先輩だぞ。少しは敬え。
なお、自学自習派の相方は静観。何もしてくれなかった。ちくせう。
ずるずると落ちていくたろうの様子を見て思った。次の模試は相当成績を落とすだろうと。
(偏差値、10は落ちるだろうな)
そう心積もりをして臨んだはずの7月の模試。会場から出てきた、たろうは妙にはしゃいでいた。
「どうだった?」
「できたよ!」
後に、職場の先輩ママから妙にはしゃいで出てきた時は危ないよと教えてもらった。
今にして思う。
たろうはどんな気持ちで私に伝えたのだろう。私をがっかりさせたくなかったのだろうか。胸が痛む。
しばらくしてから
「算数、難しかった」
とたろうは俯いてぼつりと言ったのだ。
数週間後。模試の結果は想定外の結果だった。前回より15近く偏差値が落ちた結果、志望校の合格可能性20%以下。大学受験だとE判定になるだろうか。
何度紙を見ても現実だった。
20%の数字から「夢見てんじゃないよ、バーカ」と嘲笑う声が聞こえた。
余裕を持ったはずの受験が無謀受験に変わった瞬間だった。 地獄はまだ始まったばかりなのをその頃の私は知らない。
小六 七月時点
本命校目標偏差値より-12。
思い出したら辛くて、時間がかかってしまいました。すぐに次話投稿します。
短編投稿します。よろしければ息抜きにどうぞ。
「小学生男子にいらん事教えるととんでもない事が起こる話」
12/10
模試結果見返したら記憶と違いました。数値修正します。




