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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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20/21

もう繋がない手

 それは、たろうを連れて受験会場に向かっている時だった。


 お母さんと手を繋ぐ子、腕を組んでいる子がちらほらいるのに親子二人で驚いた。……私とたろうは手を繋いでいない。いつの間にか、それが当然になっていた。


 独立心旺盛な上の子と違って、たろうはとても甘えん坊な子だった。私自身も甘ったれだったから似たのだろう。上のはなと比べると頼りなくて、「大丈夫かな、この子?」と思う事がしばしばだった。


(この子は栄養と同じくらいスキンシップが必要なんだろう)


 そう思って、いっぱい抱き締めて、手を繋いだ。思い残す事はない位に。


  中学受験はたろうと過ごす最後の濃密な時間だった。善くも悪くも。


 辛い期間を超えて、私は息子に対して「この子は大丈夫」と思う様になっていた。中学受験は私の子離れの期間だったのかもしれない。



 何年もたった今、思う。進学、就職、独立とたろうの人生はこれからも続く。大丈夫だと思ってもやはり心配だ。かと言って私が代わる事は出来ないし。



  たろうの人生のプレイヤーはたろう自身。



 親の目には、無謀にも前途多難にも見えてもそれが彼の幸せなのかもしれない。私は彼ではないし本当の所は理解できない。せめて受け入れられる度量を持ちたい。


 だから、後ろでわたわたしながら余計な事を言わずに見守る。


 これが、私の課題であり続けるのだろう。そして中学受験の時に聞いた洋楽を何回も聞き返して、あの時のやらかしを思い出す。戒めとして。



 最後に洋楽の話で締めようと思う。


 ――たろうの中学受験が終わり落ち着いた頃、私はある曲に出会った。


 Sia & David Guetta の「Floating Through Space」 。その中の一節。


 ~♪~

 24時間、365日(24/7 and 365)

 ずっと 君は

 日々を乗り越え

 生き延びてきた

 ~♪~


 スランプに耐え、盆暮れ正月関係なく勉強した息子と重なった。


 この曲、こんな感じで始まる。


 ~♪~

今日も乗り越えた君。

 君はやりとげたんだ。

 さあ、お祝いしよう

 ~♪~


 この曲がたろうへのささやかなプレゼントに感じた。


思いの外、長くなった「受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)」にお付き合い頂きありがとうございます。

これにて完結です。

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