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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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19/21

そして 2月1日

 1月になって、たろうは変わった。


 過去問演習は途中で受験予定校が変更されたもんでバタバタだったけど。本命校N校の過去問にとりかかれたのが年末か1月に入ってからだったんじゃなかろうか。


 まるで童話「白鳥の王子」。処刑台の前で過去問を解いている気持ちだった。


 A先生がおっしゃった通りN校は難易度が一段上。算数の解き直しノートを作って解き直してもなかなかできない問題もある。


 そんな中でも、たろうはめげない。一問解けると「おれ、すごい。天才」と自画自賛するようになった。良い傾向だ。


 そして、親の私が見ても難しいなという問題を諦めずに解き、思考を諦めない。この段階で息子の新たな一面を発見した。




 ――2/1がやってきた。たろうは「明日もテストね」と慣れたもの。B先生の作戦大成功である。私の預金は犠牲になったけど。


 朝食を食べてから、勝負ソングをかける。私が選んだのはClean Banditの「Rather Be(feat. Jess Glynne)」。バイオリンのリフレインが美しいEDMだ。


 貴方(この学校)の他にどこにも行きたい場所はない


 というのが本命校にふさわしい気がして選んだ曲。もう一つはこのサビ。


 ~♪~

 与えられたチャンスは掴んでみせる。

(暗闇の銃弾を掴む様な)困難でも

 やりとげてみせる

 ~♪~


 プレッシャーの弱い息子に「こんな意味なんやで」と解説した時は「ふ~ん」という感じだったけど。


 N校までの道。たろうが口ずさんでいたのはこのサビだった。


 ~♪~

 与えられたチャンスは掴んでみせる。

 どんな困難でもやりとげてみせる

 ~♪~


 霰が振りだす中、いつもの通りにたろうの背中をポンと叩いて送り出す。


「いってらっしゃい。がんばってこ~い」


……待っている間に、近くの神社で必死こいてお祈りしていました。




 戻ってきた息子はキャハッと言わんばかりにはしゃいでいた。


「算数、簡単だったよ!」


 まずい……嫌な予感がした。先輩ママがかつて言っていた通り、たろうもはしゃいで帰ってきた時の成績はいまいちな時が多かった。


(今回が駄目でも、次がある。今回が駄目でも……)


「そっか~。じゃあお昼食べたら午後の学校行くよ~。」

「本当にできたんだよ。……国語は難しかったけど。」

「そっか、そっか。二回目もあるから頑張ろうな。」


 こんな感じで午後受験の学校に 向かった。


 ダブルヘッダーを終えてへとへとで帰ってきた2/1の夜。私は緊張してスマホに向かっていた。本命校N校の合格発表の時間が迫っている。


「お母さん、時間だよ。」

「ち、ちょっ、ちょっと待って。お母さん、こ、心の準備が……そうだ、この曲聴いてから見るね」


 たろうの呆れた視線を感じながらyoutubeで不合格だった時用の曲を聞く私。アホでチキンな母ですまん。


 震える指で確認ボタンを押す。


(不合格でも二回目がある。不合格でも二回目がある……)


己に言い聞かせて、出てきた結果は……。




「たろう、うかった……。うかったよ……。」


 普通なら、そこで「ヤッタ~!」と盛り上がる所だけど。私とたろうは静かだった。


「たろう。よく……がんばったねえ……。」


 なんだ、この病床のおっ母が「すまないねえ……」と言う様なノリはと自分で突っ込みを入れたけど。でも、風船から空気が抜けた様に力が抜けたんよ。


 一番頑張ったのは、誰でもない。たろうだ。スランプにもイカれた母にも負けずよく頑張った。



 塾への報告で対応されたB先生や帰宅した相方に「良かったな~」「おめでとう!」と言われてじわじわと実感が湧いてきた。


 長く苦しかった中学受験。

 たろうは本命校の合格を勝ち取った。



 それから。受験の諸々の手続きを終えて気が抜けた私は寝込みました。


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