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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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18/21

通塾カバンに見た祈りと願い

閑話になります。

印象に残る受験風景。

 1月の第三週。ぽんこつな母の私はたろうに謝っていた。


「ごめん。受験会場……学校になる。」

「なんやて?」


 急に受験校が変わったために千葉はS校の出願が遅れた。近場の会場は満杯で申込めず学校会場になってしまった。ホテル?近くにありませんがな。



 不機嫌なたろうを連れて朝早くから電車に乗ってS校へ。


「落ちても文句言わないでね!」

「言わない、言わない。落ちても文句言わないから。」


 埼玉合格の効果で、私達はこんな事を話せる余裕があった。


 雨の中、S校へ向かうバスは受験生と保護者で満員のぎっちぎち。バスの曇った窓に涙の様に滴が流れていった。


 車内は意外にもお父さんと息子の組み合わせが多い。


 中でも、一組の親子が印象に残った。お父さんは笑顔で広告から理科や社会に関連しそうな話題を息子さんと話している。話の運びが上手くてね。好奇心のそそり方がうまいんだ。


 なにより本番直前なのに、お父さん自身が楽しんでいる感じだったのがとても良い。息子への愛情を端からみていても感じる。中身イケメンだよ、このお父さん。


(いいなあ……)


 と私は少し羨ましく感じた。多忙な相方にはお願いできないのはわかっているけどね。うちはうち、よそはよそ。



 ようやくたどり着いた校庭も受験生と保護者でごった返している。


 自然と目に入るのが受験生が背負う通塾カバンだった。


(みんな、すごい量のお守りぶら下げてるな~)


 多い子は五つも六つもお守りぶら下げてる。家族一丸で子どもの受験を応援しているのだ。


 うちの息子の通塾カバンにも、相方が買ってきた北野天満宮のお守りと私が買った勝ち守がついてる。我が家は控えめな方かもしれない。


 ふと、前を歩く男の子のリュックに目が入った。


 そのリュックの布地はマジックの書き込みで埋めつくされていた。

「頑張れよ」

「○✕校、絶対合格」

「○○ならできる……」

 それは先生や友達からの応援メッセージ。


 今から、その子は皆の激励を背負って試験に挑むのだ。たろうと同じ様に。胸がじんとした。


 そうして。声を枯らして誘導する先生方の前でたろうをポンと背中を叩いて送り出す。


「いってらっしゃい。がんばってこ~い」


 もはやルーチンになった。



 ――数時間後、たろうは少し疲れた顔で帰ってきた。


「理科が難しかった……」


 そうか、そうか。

 こうやって帰ってくる時ほど成績は悪くない事が多い。


「あんたが出来ないなら大抵の子は出来ないよ!」


 そう言って、雨の中帰宅した私達だった。


 千葉前受け S校。合格

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