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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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17/21

神前で願った事は……

 話はP校受験の日に戻る。


 たろうを会場に送り出してから、ホテルへの帰り道。私はずっとスマホで過去の入試結果や最新出願状況を確認していた。


 (倍率は高くない。多分、受かるはず。算数がこけても大丈夫なはず、多分……)


 スマホの画面を何回も見直したが不安はなくならない。


 とうとう、いてもたってもいられなくなった私は会場近くの神社に参拝しに行った。困った時の神頼み。


 身体は相変わらず不調。コートの下は湿布やらサポーターやらカイロをつけて満身創痍。よろよろ歩くのが精一杯だった。


 それでも。一の鳥居から、途中で休み休みしながら日本一長いと言われる参道の始めから歩いた。


 その時は、それぐらいの事をしなければ神様に私の想いは届かないと本気で思ったのだ。



 ――神様、たろうをお願いします。

 実力がある子なんです。

 具合が悪い中でずっとずっと頑張ってきたんです。


 お願いします。

 どうか、たろうの努力が報われますように。


 お願いします。

 お願いします。




 参道を歩く間、こんな感じで全身全霊で神様にお願いした。

 後にも先にもこんなに祈った事は無い。


 長い時間をかけて、神前にたどり着く。池を過ぎると感じる清浄な空気。『久しぶり。よく来たね』と言われている気がした。


 そうして、神前の前にでてきた言葉はM校合格でもN校合格でもなかった。



 ――お願いします。

 どうか、たろうが本来の力を発揮できます様に。


 無事に受験を終える事ができます様に。


 願わくば、たろうが幸せに過ごせる学校とご縁がありますように――


これだけだった。



 気がつくと、お母さんらしき女性が何人も神前に向かって祈っていた。


 神社で購入したお守りは「勝守」。今のたろうに必要なのは学業成就では足りないと感じたから。メンタルとか体調、全ての逆風に勝つ。その為のお守り。


 お守りを手にした時、これが正解な気がした。


 息子を迎えに戻る足取りは行きと違って軽かった。あちこち感じていた痛みがすっと和らいで足元から不思議に力が湧いてくる。さすがパワースポットとその時は思った。



 後に、この神社のご利益は肩代わり。苦難や病気を引き受けてくれると知った。……ご利益をたくさん頂いたのだ。


 ――埼玉受験の最終日、たろうを連れてお礼参りをした。埼玉での受験を無事に終わらせた事に感謝しに。



 埼玉前受け 全3校。合格。


当時は必死でした。人をここまで狂わせる中学受験って、親の業って怖いですね。

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