深海魚絶許の塾?
最後の模試の結果がC先生の予言(?)通り、なんとかN校の偏差値に届いた。私とたろうは「やった!」と盛り上がっていた。(といっても元の成績に戻っただけなんだけどね。)
塾の先生方はそんな私達に冷や水をかける様な対応をされた。
まず塾長のA先生。
「たろう君、算数が残念でしたね~。11月の模試の成績維持できれば良かったんだけどな~。」
「先生、たろうは体調不良だったんですよ。良く頑張ったと思ったのですが」
「N校の算数は難しいですよ~。たろう君、受かるかどうか……」
こんな感じ。
結果を見直すと、得意科目な国語で底上げしているものの算数は10月の模試とあまり偏差値が変わらず。
言うて国語で毎回百点狙える程、たろうができる訳では無いし。国語自体ぶれがある教科だ。
(確かにA先生のおっしゃっる通りだわ~。気を引き締めてこ。)
と思った。
さらに。最後の面談はC先生とD先生(算数担当)だった。N校受験のお許しはでたものの。D先生は志望校合否判定グラフを見ておっしゃったのだ。
それは、前年合格者の成績と受験生の成績と比較する「箱ひげ図」。たろうの成績はちょうど箱の真上。要は前年合格者でも上位グループにいたのです。
だが、D先生の指はたろうの位置からすっと「ひげ」の上の方を指した。
「お母さん、よく見てください。たろう君よりずっと上の偏差値の子が合格しているんですよ。一回目で。」
その上位は、たろうの最新偏差値よりさらに5~8上。O校目指せちゃう成績だ。
「たろう君にはここを目指して欲しいんですよね~。実際、ここまで届くポテンシャルはありますしね~。」
「……。」
死ぬ気になって勉強してやっと届いたのに。なんて鬼畜なんだと当時は思った。
なぜ先生方が上位の成績での合格にこだわったのか。それには訳があった。
ある時、B先生が辛そうにおっしゃった。
「せっかく合格してもね、深海魚になって学校を辞めざるをえない事があるんですよ。あれはね……不幸です。だから僕は無謀受験は認めません。」
あれから何年も経て思う。
黒木先生は「絶対合格の塾」だったが、あの塾は「絶対深海魚許さぬ塾」だったなと。
道理で特待合格が出ると喜んでいた訳だ。
こうして。先生方に気を引き締められた私達は前受け受験を前に、大晦日も元旦もなく、ひたすら過去問を解いて過ごしたのであった。
そしてトライアンドエラーと位置付けた1月、 前受け受験に突入する。
洋楽、全く書けなかった……。
(補足)
「深海魚」とは、合格しても進学先の授業についていけず成績が低迷する子どもの事です。学校によっては高校に進学させない所もある様です。




