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受験を洋楽で乗りきった話(主に親が)  作者: のどあめ


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14/21

やらかした12月

 12月某日。

 最後の模試。会場はM校。

 私は焦っていた。


 この模試が本命校の目標偏差値を越える最後のチャンス。できれば上回ってセイフティリードを取りたい。

……だって、本番は70%から80%しか力が出せないって言うし。


 アホな私は大事な事を忘れていた。プレイヤーは私ではなく、息子(たろう)だと言うことを。


 会場までの道、うるさいおばさんはぶつぶつと息子に言う。


「算数、途中式絶対書くんやで」

「理科は~」

「社会のこれ覚えている~」


 こうして送り出してから数時間後。たろうは真っ青な顔で戻ってきた。

「お腹が痛い。駅まで歩けない」

「ええっ。大丈夫?」

「むり……」


 急遽、車で帰宅する私達。横で辛そうに目をつむる息子を見て、私は猛烈に後悔した。


(たろうが調子を崩したのは私のせいだ……)


 苦しみ様が尋常でないので急患で診察してもらった結果は。


 ストレス起因の腹痛。


 私は反省した。そう、たろうはチキンだ。小心者だ。只でさえ重圧がかかる模試。そんな子どもにプレッシャーかける言葉がけしてどうするんだ。


 ――「二月の勝者」で黒木先生が『試験に赴くお子さんに何と言葉をかけるか考えておいてください』といった場面がある。


 当時、「二月の勝者」を読んでいなかった私は漫画「ファンシイダンス」に出てくる「見孔著楔(人を見て法を説け)」を思い出していた。


 B先生の言葉が甦る。

「『ああ、また試験か』ってなって平気になります……」


 たろうの様な小心者には余計な言葉がけはしてはいけない。本番の試験を「日常」にしなければいけない。――ならば。いつも同じ言葉、同じルーチンで試験に臨ませてみようか。1月の前受けで。


 一方で思った。前受けは埼玉。

 埼玉から車で帰ったらどれだけ交通費かかるんだろか……。


 頭の中でSiaの「Chandelier」が響く。あ~~~あ、やらかした~~~。やらかした~~~。


 腹痛になりながら社会を解いたという最後の模試。たろうの偏差値は本命校N校とほぼ同じ。全ての志望校の合格判定は80%になった。


この後、息子に謝り倒しました。


たろうは算数が解けない時、頭の中にSiaの「Chandelier」が流れたと言ってました。頭の中身が少し似ている親子です。

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